復元データにより約100年周期での台風上陸の変動を明らかに 北大らの研究

2021年2月7日 07:33

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1877年~2019年に日本に上陸した年間台風数の棒グラフ。青線は年間上陸数の11年移動平均。(画像: 北海道大学の発表資料より)

1877年~2019年に日本に上陸した年間台風数の棒グラフ。青線は年間上陸数の11年移動平均。(画像: 北海道大学の発表資料より)[写真拡大]

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 近年の日本では強力な台風による被害が発生しており、台風の変化を予測するために長期における過去データの集積が必要とされている。そこで北海道大学や東京都立大学、神戸大学らの共同研究グループは、19世紀後半以降のデータを復元する取り組みを行っている。

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 共同研究グループが5日に発表した内容によれば、そのデータから約100年周期での台風の上陸地点の傾向が変化していると明らかになった。今回の研究においてはアメリカ海軍ペリー艦隊の航海日誌などもデータ収集において活用された。

 気象庁では1951年から台風の位置や強度に関する統計データを作成しているが、今後の台風の予測にはより長期のデータが必要である。そこで、1951年以前の台風については気象台と灯台で観測された気圧や風のデータから、現在の気象データと比較可能なレベルまでデータを復元。

 従来の定義では、台風は一定の値以上の最大風速を有する熱帯低気圧のことを指すとされてきた。しかし、今回の研究ではその定義を見直すことによって、1951年以前の台風について詳細な傾向を把握することが可能になった。

 その結果、台風の上陸数は数十年周期で変動しており、2014年以降の上陸数増加も周期変動の範囲内であることが判明。また、上陸地点についても約100年周期で北東と南西方向に変化する傾向が確認された。そのため今後は東北や北海道での上陸数が多くなることが予想される。

 また、1872年以前は公式な気象観測が行われていなかったため、日本に来航した外国船が行っていた気象観測データに着目した。共同研究グループはアメリカ海軍ペリー艦隊や、イギリス海軍の航海日誌を入手し、当時の台風の経路を明らかにした。これらの情報から、台風が当時の戦争に与えた影響についての解明も進めていくとしている。

 今回の研究成果をもとに世界中の研究機関と協力をしていくことで、全世界の気象変動が明らかになる。特に産業革命以降に進んだ地球温暖化に対して、復元された気象データによってその全貌が解明されることが期待される。

 今回の研究成果は5日付の「Climatic Change」誌オンライン版に掲載されている。

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