太陽系外惑星で液体と気体の境界にある水素化クロムの痕跡を発見  オランダの研究

2021年2月4日 15:15

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主星の前を通過する太陽系外惑星WASP-31bのイメージ (c) ESA/ATG medialab

主星の前を通過する太陽系外惑星WASP-31bのイメージ (c) ESA/ATG medialab[写真拡大]

 オランダ宇宙研究所(SRON)は3日、地球からおよそ1300光年離れた太陽系外惑星WASP-31bで、物質の痕跡(液体と気体の境界にある水素化クロム)を突き止めたと、発表した。本件に関する研究論文の全文が同日、欧州の学術雑誌であるAstronomy & Astrophysics 誌上でも公開されている。

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 この惑星は木星型の高温のガス惑星であり、直径は木星の約1.55倍、質量は木星の0.48倍という低密度の星である。ところで現在発見されている太陽系外惑星の数は4000を超えているが、これらの惑星の大気を特定するために主に透過分光法が用いられている。

 惑星がその主星(その惑星が公転している恒星)の前を通過する時に、主星の光の低下度合いを測定すると、惑星に大気があれば見かけの惑星サイズは波長の関数として変化するため、その変動を分析することによって、大気組成やその惑星の構造を推定する方法が、透過分光法である。

 WASP-31bの表面温度は約1200度と推定され、今回、液体と気体の境界にある水素化クロムの痕跡が見出された。この表面温度は、水素化クロムがちょうど液体から気体へと遷移する温度に相当し、このような温度域の惑星で水素化クロムが発見されたのは、初めてという。

 この惑星は常に主星に対して同じ方向を向いているため、気体水素化クロムが存在する領域が常に昼間の状態にあり、液体水素化クロムが存在する領域は常に夜の状態にあると考えられている。これらの領域に存在する温度差によって強風が巻き起こっている可能性があり、それを直接観測することに期待がかけられている。

 これはまるで地球において水が蒸発して、雲を形成し、それが冷やされて雨が降ることとよく似ている。地球における水の役割を、WASP-31bにおいては、水素化クロムが演じているというわけだ。地球においては台風やハリケーン、サイクロンが多数発生しているが、WASP-31bでは水素化クロムが台風のような気象現象を引き起こしている張本人なのかもしれない。

 1300光年の彼方にある惑星でも地球と同じように気象現象が繰り広げられているとは驚きだ。ということは液体水素化クロムを飲料として生息している知的生命体もおり、地球とは全く異なる文明社会を築き上げているかもしれないと想像するのは、飛躍が過ぎるというものだろうか。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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