TATERU急成長・大幅赤転の軌跡と、再建の足音の有無 (下)

2021年1月13日 09:01

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 融資書類改竄の表面化を契機に「2018年12月期の大幅減収減益」「19年12月期の大幅赤字転落」。また設置された調査委員会の「背景にノルマ営業の強要が想定される」とされて以降、急成長企業の寵児だったTATERUの古木大咲社長の露出は皆無に等しかった。

【前回は】TATERU急成長・大幅赤転の軌跡と、再建の足音の有無 (上)

 だが2021年1月号の某月刊投資雑誌の、「直撃インタビュー」と題する欄に久方ぶりにその顔を表した。付けられたタイトルは『不動産テック企業に大きく転換 物件販売から撤退し業績急回復』。担当した編集長氏から、「正直、駄目もとで申し込んだ。意外だったが早々にOKの返事が返ってきた。不祥事から間もないだけに、どんな口調で喋るのかにも興味をもったが淡々とやんわりした口調だった」と聞いた。

 手元の四季報は業績欄の見出しを【浮上】、材料欄の見出しを【IoT】としている。

 確かに、収益動向は上向いている。営業損益で見ると、今期第3四半期:5億3100万円の損失。前年同期比72億6700万円損失から大幅に改善しているし、期初の通期計画:9億7100万円損失と比しても「浮上」の表現は当てはまる。流れからして、古木氏の「21年12月期の営業利益1億円は、視野に据えている」も頷ける。見出しに記された「不動産テック企業に大きく転換」の効果ということか!?

 第3四半期の決算短信はセグメント別収益として従来の『TATERU事業』を「売上高29億7800万円(前年同期比80.7%減)、営業損失4億700万円(前年同期54億2600万円損失)」とする一方で、転換を図った主力『KANRY事業』をこう印している。「売上高4.8%増:22億4900万円、営業利益174.4%増:7億2300万円」。

 では具体的に、再建を賭した「KANRY事業」とは、どう捉えればよいのか。こう説明されている。不動産経営のIoTプラットフォーム「Residence Kit(レジデンスキット)」の展開。AI・IoT技術を駆使した「入居者」「オーナー」「賃貸仲介会社」「賃貸管理会社」をつなぐ、不動産経営の自動化を図るプラットフォームの展開。

 古木氏は「IoTと言っても、いわゆるスマートロックだけとかカメラだけといった具合に単品しか取り扱えない企業が多い。当社の場合は複数のIoT商品の対応が可能。それが提供するアプリ一つの操作で完結する」。

 マンション基軸に不動産関連事業を手掛けるプロスペクト(東証2部)の子会社が、標準仕様とすると発表した。アナリストも「中堅・中小のマンションデベロッパーにとっては、IoTを一括発注できるメリットが大きい」と評価する。

 ちなみにプラットフォームの活用料として、1戸当たり月1000円程度が入る。

 不動産テック企業として「新たな成長を」ということだ。不動産テック企業として「新たな成長を」ということだ。期待して見守りたい。が私は「株式市場」は「世の森羅万象を映す鏡」であり、「株価は企業への通信簿」と捉えている。「期待」の進捗・高まりを確認する意味で株価動向を見守りたい。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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