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現在の円高ドル安については、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融緩和が主導していることは疑いの余地がない。
【前回】円高に無力な日本銀行とワクチン接種に揺れる日本株の行方 前編
コロナショックまでのアメリカ経済の回復は、FRBによる大規模金融緩和によってもたらされたといっても過言ではないが、その出口戦略として粛々と行っていた利上げを、コロナショックに対応するために一気にゼロ金利付近にまで利下げをしたのだから、ドル安がもたらされるのは当然である。
そして、このゼロ金利政策は少なくとも3年先の2023年末まで継続するという見通しであり、金融緩和によるドル安が今後も強力な円高圧力となることは間違いないだろう。一方で日本銀行は円高に対抗する手段がないというのが現実だ。
アベノミクスの第1の矢として放たれた日本銀行主導の大規模金融緩和によって日本経済は活況となり、株式市場も大幅に回復したことは周知の事実ではある。だが「前年比上昇率2%の物価安定」という世界目標にこだわり過ぎたせいか、ゼロ金利をさらに深堀したマイナス金利政策のまま、金融緩和の出口戦略は出遅れていた。
そんな状況下でのコロナショックである。アメリカのように自国通貨安に直結するような利下げの余地はないという苦しい日本銀行は、侵食していく円高に耐えるしかないのが実情だ。
実際に、市場の投機筋の建て玉を示すシカゴIMM通貨先物ポジションの動きを見てみると、コロナショック前の約40,000ショート(建て玉の合計が円安)から、現在は約48,000ロング(建て玉の合計が円高)になっていることからも、市場は円高を見込んでいるといえよう。
さて、日本は世界有数の貿易国であるため、本来は円高となれば悪影響を受けるはずではあるが、今のところ、株価が下落する様子はないことは不幸中の幸いである。この理由の1つとして、アジア圏がコロナウィルスの影響をさほど受けていないという実態があるといえよう。
経済への悪影響を省みず、ロックダウンを行わなければならないのは、日本の人口あたり感染者比率が約0.15%、中国が約0.0005%に対して、アメリカは約5.22%、イギリスは約2.92%であることからも一目瞭然だ。
しかし、このアドバンテージもワクチン接種が広まり、コロナウィルスが恐れるべきものではなくなった瞬間、脆くも崩れ去るものである。そこに強烈な円高が下押し圧力としてのしかかれば、どうなるだろう。
経済を下支えする目的として日本株を今もなお購入し続ける日本銀行はもはや大株主となっている現状から、これ以上の公的マネーは期待できないともなれば、目先はコロナバブルの崩壊ともいえるのではなかろうか。
今後、世界各国におけるワクチン接種の広まりが、日本株をはじめとするアジアの株価に与える影響については、十分に注視すべきであろう。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)
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