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原油先物が9カ月ぶりの高値に 今後の相場は?
●原油先物価格が上昇
北海ブレント先物と米国WTI先物が共に9カ月ぶりの高値を付けた。北海ブレントが一時1バレル=51.9ドル、米国WTIは1バレル=48.59ドルとなり、共にコロナショック前の3月初旬以来の高値だった。
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ワクチン普及により、飛行機などの原油需要が回復することに対する期待が高まったと見られている。一時はマイナス価格を記録した原油先物だが、落ち着きを取り戻した形だ。
●減産は続くが・・
OPEC(石油輸出国機構)やロシアなどが取り組んでいる協調減産は続いている。OPECとロシアなどの非加盟国で作るOPECプラスは12月3日、減産規模を2021年1月から縮小することで合意している。
需要はすぐに元通りになるわけではないが、回復の兆しもある。暴騰するとも考えづらい。
一方で、12月14日にはサウジアラビアで石油タンカーが外部からの攻撃を受けて爆発したというニュースがあり、需給ひっ迫懸念から原油価格が上昇するという、中東の地政学リスクもある。
●原油価格は完全に回復するのか?
ワクチンの普及や、中国やインドの需要、バイデン大統領就任による米国追加経済対策などポジティブなニュースが多く、期待値は高まっている。
一方で、欧州では新型コロナ感染再拡大によるロックダウンや規制強化によって、原油需要の回復遅れも懸念されている。米国も予想以上に在庫が増加しており、先進国の回復は鈍い。
ワクチンが普及しても、海外への渡航などの制限はすぐに解除される見通しは無く、観光業や旅行業は2021年中に回復することは考えづらい。
世界的な流れとして、脱炭素化や再生可能エネルギーへのシフトの加速度も大きなカギを握ることになりそうだ。2020年代はEV(電気自動車)へのシフトが進み、ガソリン車が減ることは避けられない。
日本でも2050年までに温室効果ガス実質ゼロを掲げているが、現状は約80%近くを火力発電に依存している。EVやハイブリッド車に移行しても、原発も含めた電力供給の見直しが無ければ、実現は難しい。
世界的な流れに乗って、2030年代半ばにガソリン車の新車販売を禁止する予定だが、ハードルは高い。原油先物は需給からかい離し、思惑で取引される状態が続くだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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