丑年相場のカギは「バイデン政策」と「コロナ禍の段階的収束の歩み」

2020年12月14日 15:55

印刷

 来年は丑年。この時期になると「株原稿」を仕事の範疇の1つにしていることもあり、「来年はどんな相場になると見ているか」式の質問を受ける。

【こちらも】日経平均の株高はいつまで続く?

 実は私は丑年生まれ。そう来年は年男。だが相場に語り継がれる「干支の格言」で相場が見通せたらこんな楽なことはない、が持論。

 今年の子年相場は「繁盛」が格言の教え。確かにNYダウは3万ドルをつけた。日経225も29年半ぶりという高値まで上昇した。が、果たして今年は「繁盛」という言葉が当てはまるのだろうか。「新型コロナウイルスに振り回され続けた1年」が、実体ではないだろうか。

 ちなみに私は「子」が好かない。嘘かまことかこんな言い伝えがある。神様が、「明日の朝1番に私のところに来た者には、褒美をとらす」と全ての動物に告げた。1番だったのが、子。ずるがしこい手で1番になった。丑の背にピョンと乗り、神様宅の門前で飛び降り1番に飛び込んだ。褒美は、干支の1番手、という次第。丑を利用して1番・・・丑年の私は、そんな話を聞いた時から子嫌いになった。

 来年の相場を展望するキーワードは、「バイデン大統領」であり「新型コロナワクチン」と考えている。

 トランプ氏は「選挙人選挙でバイデンが選ばれれば、ホワイトハウスを出ていく」とした。相次いで起こした選挙絡みの訴訟も却下の判断が相次いでいる。バイデン大統領誕生は間違いあるまい。となると新大統領の思考・姿勢が(日本の)相場に大きく影響してくる。実際のところは、バイデン政権が打ち出す策を確認しなくてはならない。だがこれまでの発言を基に考えてみた。

(I)「自由貿易体制への回帰」-「(貿易戦争状態にある)中国とも再交渉する」としている。裏返すと「中国の米国向け輸出/大量生産」状況が生まれだす可能性が高い、と捉えられる。となると日本製の工作機械や電子部品メーカーの出番。輸出で実績残している、例えばTDKやファナックなどの業績回復が可能になる。

(II)「製造業の支援に7000億ドルを投じる」としている。そこには「富裕層減税で経済成長を」としたトランプ流と異なり、「中間層の所得底上げを図り、消費回復で経済成長を」という思惑がある。

(III)「脱炭素」。目玉政策とも言える。「4年間で2兆ドルを投じる」とも伝えられている。IIもIIIも膨大な財源が不可欠(増税/国債増発)。それを「長期メリット」として市場が受け止めるか否か、がカギを握ることは否定できない。

 ただ菅首相は「2050年までに温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする」と表明している。再生可能エネルギー動向がポイントになる。

 1つに海上風力発電がある。11月27日に経産省・国交省は「秋田県三種町と男鹿市沖」「同県由利本荘市沖」「千葉県銚子沖」に関し、事業者の公募を開始した。「最長30年間の海域利用を認める」という、いわば「本格化の初陣」。該当企業の決定が、再生エネルギー関連を相場の有力テーマに押し上げる公算が大きい。

 一方の新型コロナワクチンが相場に与える影響は、3段階のステップがあろう。「治験結果で高い効果確率を示したワクチンを当局が承認する(既に米国では緊急承認された)」-「投与開始/副作用等の確認」-「コロナ感染の確実な収束気運」である。

 とにかく、理にかなった上向き相場を期待したい。(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事