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12月のアノマリーから年末相場を読み解く 後編
そもそも2018年12月においては、市場が嫌気する要因がいくつも山積していた。いわゆる「ねじれ国会」となった状態での民主党との予算交渉難航による一部政府機関が閉鎖や、大規模金融緩和の出口戦略に着手するFRB(連邦準備理事会。日本における日本銀行)とトランプ政権との関係悪化などである。
そんな状況を背景として、通年12月に起こるリスクオフがいつもよりも大きくなっていたところに、ムニューシン財務長官の動きが重なってしまったのだ。市場に安心を与えようとしたムニューシン財務長官の動きは、これ以上に相場が下落する「何か」が隠されているに違いないと市場に勘ぐられ、結果としてリーマン・ショックを想起させたに過ぎない。
しかし、そんな「クリスマスショック」も、単純に値動きを追ってみれば最高の買い場であったことに異論は無いだろう。2018年12月1日からの下落幅は、アメリカのダウ平均株価の下落幅で約4000ドル、日経平均株価の下落幅で約3200円にも及んでいたが、クリスマスを境に右肩上がりに値を上げ続け、数カ月後にはその下落幅を全て元に戻しているのだ。
つまり、例年の「クリスマスラリー」がより長期的なスパン、かつ大きな値幅で起こっただけであり、「クリスマスショック」はショックでも何でも無く、一部の投資家にとっては、サンタクロースからの大きな贈り物となったのである。
さて、昨年2019年についても日米共に「クリスマスラリー」とはならなかったわけだが、そもそも12月に入ってからの一旦のリスクオフが無かったことが原因といえる。値下げ幅が限られれば、当然上げ余地も限られる。ボールが重力によってバウンドするかのように、不思議と相場にも上下の反動が起こるものなのである。
2020年12月は第1週を終えて、未だにリスクオフが見えない状況であるが、今後どの程度の上げ余地が生まれ、12月24日以降の「サンタクロースラリー」につながっていくのだろうか。それとも12月14日の選挙人投票や、1月20日の大統領就任前にもう一悶着あるのだろうか。年末に向けての株価の変動には、十分に注目されたい。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)
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