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今後の株価の動きを握るジャネット・イエレンと仮想通貨の高騰 前編
アメリカ大統領選挙は12月14日の選挙人投票を経て、翌2021年1月6日、連邦議会における選挙人投票の開票により大統領が決定するという日程だが、現時点では「郵便投票の不正」を訴えるトランプ氏の訴訟は不発に終わっており、このままの情勢ではバイデン氏が次期アメリカ大統領となるだろう。
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バイデン氏はすでに主要閣僚を決めており、国際協調を重視するアントニー・ブリンケン氏を国務長官に、黒人女性であるリンダ・トーマスグリーンフィールド氏を国連大使、キューバ出身のアレハンドロ・マヨルカス氏を国土安全保障長官、パリ協定やイラン核合意を主導したジョン・ケリー氏を大統領特使、女性初となるアブリル・ヘインズ氏を国家情報長官にと、まさに失われたアメリカを取り戻すべく、多種多様かつ女性重視で人事を固めている。
そして特筆すべきは、女性として初めて財務長官に指名される予定のジャネット・イエレン元FRB(米連邦準備理事会、日本の中央銀行のようなもの)議長だ。イエレン氏は、FRBにて「ヘリコプター・ベン」と称された当時のバーナンキFRB議長の後任として、QE3の出口戦略を見事にコントロールしたことで、その手腕が評価されている。
QE3は、2008年のリーマンショックを受けて2010年まで行われた量的緩和政策であるQE1、景気回復の促進とインフレ率の低下阻止を目的として2011年まで行われたQE2に続いて、金融市場の資金量を増加させるために2014年まで行われた金融緩和であるが、市場に潤沢な資金を供給することで景気回復の十分な下支えとなった。アベノミクスとして日銀の黒田総裁が行っている大規模金融緩和も、これをなぞったものといえる。
「お金を市場に大量にばらまく」という意味でバーナンキ氏に付けられたあだ名が「ヘリコプター・ベン」であったが、その後任のイエレン氏は金融緩和を引き継ぎつつも、その出口戦略としての利上げ、つまりは金融引き締めを行うという重要な役割を与えられていた。
カンフル剤を打ったような金融緩和状態から、金融引き締めを行うことは容易ではなく、FRB議長の発言1つで株価は上下する。実際に、バーナンキ氏がQE3の終了に言及した2013年5月23日、市場は混乱し、日経平均株価は1143円安になったのだ。いわゆるバーナンキ・ショックである。
イエレン氏はそんな難しい金融引き締めを、市場と対話しながら、見事に軌道に乗せたという実績がある。2014年から2018年のアメリカダウ平均株価が右肩上がりになっていることからも、金融引き締めの影響を最小限に抑えながら、QE3を出口に導いているのだ。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)
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