三菱重工、初のグリーンボンド発行へ SDGsへの貢献目指す

2020年11月1日 18:53

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洋上風力発電のイメージ。(画像: 三菱重工業の発表資料より)

洋上風力発電のイメージ。(画像: 三菱重工業の発表資料より)[写真拡大]

 三菱重工業は10月30日、同社初となるグリーンボンドの発行へ向けて、社債の訂正発行登録書を関東財務局に提出したと発表した。このグリーンボンドは、国内公募形式で発行する予定だ。

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 グリーンボンドとは、企業や自治体がグリーンプロジェクトの資金を集めるために発行する債券のひとつ。債券発行で集めた調達資金の使い道を、環境改善効果のある事業に限定している。2008年に国際復興開発銀行が初めてグリーンボンドを発行。環境問題への意識の高まりにともない、その市場規模は拡大し続けている。

 三菱重工ではグリーンボンドの発行を通じ、国際連合が定めるSDGs(持続可能な開発目標)目標の7番目である「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」の達成に貢献したいとしている。

 三菱重工が発行するグリーンボンドの名称は「三菱重工業株式会社・第36回無担保社債(三菱重工グリーンボンド)」。主幹事証券会社は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SMBC日興証券、みずほ証券、野村証券、大和証券、メリルリンチ日本証券。発行年限、発行時期、発行額はいずれも未定としている。

 三菱重工は、グリーンボンド発行で調達した資金を使って行う事業(グリーンプロジェクト)として、脱炭素社会に向けた環境課題への対応をメインにすると言う。具体的には、風力発電設備事業、水素発電設備事業、地熱発電設備事業が挙げられている。

 国内のグリーンボンド発行事例では、2020年1月にオリックスが100億円の発行を行った実績があり、この時の調達資金の使い道は、自社開発の太陽光発電に充てるとしていた。

 企業だけでなく、近年地方自治体によるグリーンボンド発行例も増えている。東京都では「東京グリーンボンド」として、5年債と30年債の2種類を発行。環境に配慮したスマートシティの実現へ向けて資金を集めている。

 長野県では、2020年からグリーンボンドの発行を始めた。年限10年、発行額は50億円にのぼり、しなの鉄道の車両更新に対する補助とすることでクリーン輸送対応に充てることなどが、目的となっている。

 グリーンボンドとは、簡単に言うと環境に配慮したプロジェクトに対して投資をするイメージである。企業側としては、調達した資金でどのようなグリーンプロジェクトを進めたのか公表しなければならない。SDGsの広がりに比例するように、今後もグリーンボンドは市場規模を拡大するとみられる。(記事:大野 翠・記事一覧を見る

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