個人投資のリスクヘッジ、資産の一部を中国銘柄にシフトすべき理由とは

2020年10月16日 14:06

印刷

 14日のNHKおはよう日本のオープニング・ニュースは、INFが公表した世界全体のコロナウイルス感染者数であった。その数は3800万人、総人口の0.5%にも及ぶレベルにまで至っている。そのうち最も感染者数が多いのはアメリカで約790万人、13日の1日間だけで4万人以上も感染しているという。

【こちらも】大幅上昇だが オーバーシュートする米株相場にGAFAの暗雲立ち込める

 次いでインド、ブラジル、ロシア、コロンビアと続き、最近パリでバーなどの営業を再び禁止とするなど、EUの感染率も非常に厳しい状態だ。EUでは第2波のパンデミックが始まったとの見方もある。ただし、人口14億を抱える中国の名前は見当たらない。

 同じニュース番組では、その次にIMFによる経済見通しが報じられている。今年の世界の経済成長率はマイナス4.4%と見込んでいる。これは4カ月前の予想より0.8%改善しており、世界経済は緩やかに回復傾向にあるとしていた。

 国別で見るとイギリスが-9.8%、ドイツは-6.0%、日本が-5.3%、アメリカが-4.3%と、経済大国の経済力が軒並み大幅ダウンしていることが分かる。しかし中国はプラス1.9%であった。

 中国の公表するデータはいつも眉唾ではあるが、現時点での経済活動は比較的活発のようだ。同ニュース番組では10月1日から始まった中国の国慶節の様子も伝えていた。この連休中に国内旅行をした中国人は6300万人、経済効果は1兆6000億元(23兆円)とのこと。

 なお、同ニュースで5G対応のスマホの話題が取り上げられていたが、アメリカなどが販売禁止をしているファーウェイは世界シェア20%でトップ。同じく中国メーカーのシャオミが10%のシェアで、中国の広東省東莞市を拠点とするオッポが8.6%のシェアをもつ。つまり中国メーカーだけで世界の40%を売り上げていることになる。一方で米アップルは、翌15日にようやく5G対応機種をリリースしている。

 もう1つ補足するなら、13日にデジタル人民元が深圳で大々的な実用試験をスタートさせている。これまでに2回ほどテストリリースをして手ごたえを得た中央銀行は、最終段階のプレリリースに入ったということだ。これは通貨システムを一新させる世界初の試みと言えるだろう。ちなみに日銀は、数日前にやっとデジタル通貨の開発へ取り組むとの姿勢を公表したところだ。

 ここで今後の資産運用にテーマを提示したい。確かに中国市場は信用度が低く不安材料も多い。海外の個人投資家では手が出し難いマーケットだ。しかし、ここで挙げたニュースだけを見ても、今後の中国経済が世界へあたえる影響力が増加することは必至だろう。

 そこで個人投資家は、資産の一部をデジタル人民元で預金したり、中国の優良株を長期保有するなど、今後のポートフォリオの一部に中国銘柄を何か1つ加える算段を検討すべきかもしれない。

 確かに中国マーケットへの参加は不安があるだろう。以前にマーケットを強制的に売買禁止とする愚行も犯してはいる。しかし、現時点で上海市場を見ると分かるとおり、コロナショック前のレベルを早々に上回り、この10年の相場を見ても相対的に右肩上がりを維持している。長期スパンのポジションを維持するなら、安定期にのみポジション調整をする形でポートフォリオの最適化が十分に図れるはずだ。

 個人投資の資産運用リスク分散としては、これまでのようにアメリカやEUを見ているだけでは不十分な時代に入ったと言えるのではないだろうか。(記事:TO・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事