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8月の有効求人倍率は1.04倍、8カ月連続の悪化 雇用の歪みが顕在化か?
新型コロナウイルスの感染拡大による、雇用情勢の悪化に歯止めがかからない。
10月2日、厚生労働省が発表した8月の有効求人倍率は、前月から0.04ポイント低下の1.04倍だった(季節調整値)。低下は1月から8カ月連続、6年7カ月ぶりの低水準となっており、地域別では東京都、大阪府を含む13都道府県で1倍を切っている。新規求人を見ると、「宿泊・飲食サービス」「生活関連サービス・娯楽業」が、前年同月比で40%以上の落ち込みとなるなど、景気の先行き不透明さを背景に、多くの業界で求人を控える動きが顕著だ。
また、総務省の「労働力調査」によると、8月の完全失業率は3.0%となり、3年3カ月ぶりの3%台となっている。注目したいのは、正規雇用者数だけを見ると、前年同月比で1.1%増となっている点だ。ITや介護など、慢性的な人手不足という課題を抱える業界では、正規雇用を増やしているものの、全体では大きく落ち込んでいる。ここからうかがえるのは「雇用形態の歪み」である。
アベノミクスの成果の1つとして「雇用環境の改善」が挙げられる。確かに、2018年の有効求人倍率の平均値は、バブル期のピークを越える1.61倍となっており、この数字だけを見れば大きな成果といえるだろう。しかし、その背景には「労働人口の減少」と「非正規雇用の増」という要因がある。
非正規雇用を増やすことで、企業は人件費を削減でき、働く意欲のある人は、非正規でも職を得ることができた。実際、2019年の平均雇用者数5,660万人に対して、非正規の職員・従業員は2,165万人となり、前年からの増加数は正規よりも多くなっている。
雇用環境の改善は微妙なバランスの上に成り立っていたが、そのバランスがもろいものであることが、新型コロナウイルスの感染拡大によって明らかになったともいえる。「宿泊・飲食サービス」「生活関連・サービス・娯楽業」などを中心に非正規雇用を減らす動きが加速し、8月は前年同月比で120万人の減。派遣社員も13万人の減となっているからだ。
経済活動の再開に呼応して、雇用環境は改善されるという見方もあるが、非正規を調整弁とする雇用のあり方を見つめ直す必要もあるのではないだろうか。菅政権は、中小企業の生産性向上や再編を促すため、中小企業基本法の見直しを掲げる。効率化・再編は痛みを伴うものであり、地方を中心に雇用の悪化を懸念する声があるのも事実だ。
新型コロナウイルスの収束も見えないなかで、企業は雇用に関して、慎重にならざるを得ない状況が続きそうである。
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