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外国語学習での多読、どの程度の語学レベルで始めるのが最適?

2020年10月3日 08:55

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 前回までに、多読学習で得られるメリットや、中国語の多読に最適な作品を紹介してきた。

 【こちらも】中国語の多読に最適! ノーベル賞作家『莫言』の脳波が躍動する3つの作品

 今回は、高い効果が得られる多読を始めるには、どの程度の語学レベルの時期が良いかについて説明したい。

 多読は下記の基本3原則を守って実施するのが良いと言われている。

多読の基本3原則:
・辞書は使わない
・分からないところは飛ばす
・つまらなくなったらやめる

 外国語学習では精読を行うことが多いが、多読のやり方は精読とは正反対だ。精読では文法や語彙を正確に学ぶのが第1目的であるのに対して、多読では自然なフレーズを楽しくインプットするのが第1目的だ。それ故に多読では、自分のレベルに合った本を、自分で選び、自分のペースで読むことが大前提である。

 上記の基本3原則を守って多読を行うためには、学習レベルが一定のレベルに達していないと難しい。未知語推測力を使ったとしても、文章に使われる96%の単語を知らなければ、文章全体の正確な意味が掴めないと言われているからだ。

 スペイン語教育に多読学習を取り入れた江澤照美氏の研究論文によると、外国語学習で多読という方法を取り入れて一定の効果を上げるためには、学習者のレベルがCEFRでB1レベルに達していることが望ましいと言う。(外国語読解能力向上のための読書教育 -スペイン語多読活動の試み- 外国語学部ヨーロッパ学科スペイン語圏専攻より)

CEFRは「Common European Framework of Reference for Languages」を略したもので、日本語に訳すと「ヨーロッパ言語共通参照枠」となる。現在では言語の習得状況を評価するための「ものさし」として使われることが多い。

江澤氏が多読を始めるのに適したレベルと判断するB1レベルについて、文部科学省の資料では下記のようにまとめている:

「仕事、学校、娯楽などで普段出会うような身近な話題について、標準的な話し方であれば、主要な点を理解できる。 その言葉が話されている地域にいるときに起こりそうな、たいていの事態に対処することができる。身近な話題や個人的 に関心のある話題について、筋の通った簡単な文章を作ることができる。」

 簡単に言うと、「当該言語で日常生活が送れるレベル」ということだ。(参考: 文部科学省 各資格・検定試験とCEFRとの対照表

 江澤氏によるとB1レベルに達するまでに必要な学習時間は350~400時間だ。毎日2時間の学習時間を確保できるのなら半年、1時間でも1年あれば達成するレベルである。

 B1レベルの1つ上のB2レベルは「ネイティブ話者と自然な会話が楽しめる」レベルである。多読をすれば自然なフレーズを大量にインプットできるので、迅速かつ効果的にB2レベルに至ることができる。試してみてほしい。(記事:薄井由・記事一覧を見る

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