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「スクラップ置き場の番犬より意地が悪い」とは? 犬の英語イディオム (12)
「meaner than a junkyard dog」という表現を、聞いたことはあるだろうか? 直訳すると「ガラクタ置き場の犬よりも意地が悪い」となるが、これは一体どういう意味なのか。
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実はこのフレーズ、1970年代のある名曲から広まったのだ。犬にまつわる英語イディオム、今回はこのフレーズの意味や由来、現在の使われ方などを詳しく見ていこう。
■Meaner than a Junkyard Dog
「meaner than a junkyard dog」とは、「スクラップ置き場の番犬よりも意地が悪い」という直訳からもわかるように、非常に攻撃的で気性が荒い人物を形容する表現である。
このイディオムの由来は、1973年にアメリカのフォークシンガー、Jim Croce(ジム・クロウチ)が発表した楽曲 『Bad, Bad Leroy Brown』 の歌詞だ。
この楽曲は、全米で大ヒットし、ビルボードチャートで2週にわたって1位を記録した。その内容は、この曲の主人公、Leroy Brown(リロイ・ブラウン)がいかに悪い奴かというものだ。
彼は「町で最も悪い男(The baddest man in the whole damn town)」であり、「キングコングより凶暴で、スクラップ置き場の番犬よりも意地が悪い(Badder than old King Kong, And meaner than a junkyard dog)」と歌われている。
このキャッチーなフレーズが強く印象に残り、当時の大衆文化に広く浸透した。
■スクラップ置き場の番犬とは?
この表現の背景には、アメリカの都市や郊外に点在する「junkyard」(自動車の廃棄場や金属くず置き場)の存在がある。
このような場所には、盗難防止のために訓練された獰猛な番犬が放たれていることが多い。彼らは敵意をむき出しにして侵入者を威嚇する存在だ。
つまり「junkyard dog」とは、単なる犬ではなく、極めて攻撃的で容赦のない存在の象徴とも言える。
「meaner than a junkyard dog」というフレーズは、それ自体がイディオムとなって、70年代以降、アメリカで広く普及した。その背景にはJim Croceの楽曲の大ヒットだけでなく、彼自身の悲劇的な死も関与している。
この曲が全米1位を獲得した直後の1973年9月、彼は飛行機事故で突然この世を去ったのだ。彼の死は大きな衝撃をもって迎えられたが、それとともに彼の音楽やこの曲のフレーズも、強く記憶に刻まれることになった。
現在でも、特にアメリカの口語表現として一定の認知度を維持している。この表現が生まれた背景や時代の雰囲気を感じるためにも、ぜひ一度 『Bad, Bad Leroy Brown』を聴いてみてほしい。
例文
・He's meaner than a junkyard dog when he gets angry.
(ヤツが怒るとスクラップ置き場の番犬より手がつけられないぞ)
・That lawyer is meaner than a junkyard dog in the courtroom.
(あの弁護士は法廷ではまるで獰猛な番犬のように容赦がない)(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る)
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