百貨店70社、19年度決算では60社が減収 コロナ本格化前から厳しく 東京商工リサーチ調査

2020年9月11日 07:37

印刷

 東京商工リサーチが主要百貨店の2019年度業績調査を発表し、増収企業は70社中10社、その中でも上位20社ではわずか2社に留まるなど、新型コロナウイルスの影響が本格化する前でも厳しい状況に陥っていたことが分かった。

【こちらも】7月の外食市場規模は1966億円、6カ月連続のマイナスに リクルート調査

■4期連続で売上高減少

 10日、東京商工リサーチが主要百貨店の2019年度(2019年4月期‐2020年3月期)決算における業績調査を発表した。主要百貨店70社の売上合計は前期比3.1%減の5兆6,186億1,700万円で、18年度から1,824億7,500万円減少した。調査開始以来4期連続で減少しており、減少幅も前年度の1,236億8,200万円(2.1%)減から拡大している。

 また、純利益合計は同91.1%減の58億4,700万円と、大幅な減少だった。17年度は175億500万円、18年度は660億9,700万円(17年度比:約3.8倍)と大幅増加だったため、売上高と合わせて大きく減収減益に転じた格好。

■増収企業は70社中10社

 70社中減収企業は60社。もっとも多いレンジは減収幅0%未満から5%の32社、ついで5%未満から10%の24社、10%未満が4社だった。増収企業10社中増収幅が5%を越えたのは、秋田県南部を中心にスーパーの「グランマート」や旗艦店「イーストモール」を展開するタカヤナギ(前期比:7.8%増)のみ。他の9社は増収幅が5%未満に留まった。

 また収益が判明した69社中黒字企業は36社。17年度の黒字企業数は53社、18年度は43社のため、2年連続で黒字企業が減少している。

■上位20社中増収は2社のみ

 売上高1位は高島屋で7,222億3,600万円(前年比0.95%減)。以下、大丸松坂屋百貨店が6,561億5,200万円(同3.57%減)、そごう・西武が6,001億4,300万円(同2.46%減)、三越伊勢丹が5,832億300万円(8.05%減)、阪急阪神百貨店が4,504億5,800万円(0.28%減)と続き、上位5社は全て減収だった。上位20社の中で増収だったのは、8位のジェイアール東海高島屋が1,437億1,400万円(0.14%増)、18位の井筒屋が587億1,700万円(1.56%増)と2社のみ。

■百貨店空白県は山形と徳島

 2020年は8月末までに全国で閉店した百貨店はそごう・西武、大沼など12店舗。47都道府県の中で大沼本店が閉店した山形県、そごう徳島店が閉店した徳島県が百貨店のない県となった。今回の調査は、2020年2月期や3月期のため、新型コロナの影響が顕著になる今期は更に業績の悪化が予想され、「百貨店ビジネスの存在そのものが問われている」と指摘している。(記事:県田勢・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事