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衛星データ活用の降水予報 予報期間延びても高精度化する手法開発 理研ら
JAXAの降水情報Webページの例(画像:理化学研究所の発表資料より)[写真拡大]
理化学研究所(理研)は20日、人工衛星から取得した観測データを活用し、降水予報を高精度化する手法を発表した。5日後までのリアルタイム降水予報は、理研や宇宙航空研究開発機構(JAXA)のWebページに同日公開された。
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■雨量計に依存する降水観測
近年、気象が地球規模で変動しているため、これまで経験したことのないような大雨等の災害が世界中で発生している。こうした降水の観測は、バケツに水をためる原理を活用した雨量計が基本だが、雨量計の設置が難しい海洋や山岳地帯等では、降水情報を正確に測定できないという。
雨量計に依存しない降水観測として、人工衛星を活用した手法が挙げられる。これまで、熱帯降雨観測衛星(TRMM、1997年打ち上げ)や、全球降水観測計画(GPM)主衛星(2014年打ち上げ)が、JAXAと米航空宇宙局(NASA)によって共同運用されている。これらの衛星には降水レーダーが搭載されているため、雨雲の分布が立体的に観測可能だった。
■長期間でも高精度の降水予測を実現
降水予測の手法として、「降水ナウキャスト」と呼ばれる、直前の降水分布を示した観測データから、将来の降水分布を予測する手法が開発されている。だが雨雲の発生等の気象学的なメカニズムを考慮しないため、予測時間が長くなると精度が大幅に悪くなるという問題があった。そこで理研、千葉大学、東京大学、JAXAらの研究者らから構成される国際グループは、降水予測の高精度化に取り組んだ。
数値天気予報モデルからシミュレーションによって得られた実測データを、従来の降水ナウキャストに同化させることで、新しい降水予測手法を開発。気象学的なメカニズムを考慮するため、予測時間が長期にわたる場合でも高精度での予測が可能という。単独では複雑な計算を要するものの、2つの手法を合わせることで、リアルタイムでの降水予測を可能とした。
今後は、本手法が世界の国々で活用され、被害の防止や軽減に役立つことが期待されるとしている。
研究の詳細は、Weather and Forecasting誌などに掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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