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トノサマバッタを大群化させる誘引物質が特定される
トノサマバッタが大群化する誘引物質として、中国科学院の研究チームが4-ビニルアニソール(4VA、4-メトキシスチレンとも)を特定したそうだ(Natureの記事、 Ars Technicaの記事、 論文アブストラクト)。
トノサマバッタはサバクトビバッタと同様に密度が高い環境では孤独相から群生相へと変化し、大群で移動して農作物を食べ尽くす蝗害の原因となる。以前から大群化には集合フェロモンがかかわると考えられていたが、誘引物質は特定されていなかった。
研究チームはトノサマバッタが発する35の化学物質を調べ、群生相のトノサマバッタが高濃度で発する少ない6物質を特定。このうち、4VAのみが強い誘引作用を示したという。4VAは群生相のトノサマバッタのみが発するが、群生相・孤独相ともに齢数・性別を問わずに誘引し、孤独相のトノサマバッタでも4~5匹の密集で発するようになったとのこと。これにより、密度が高くなればなるほど4VAの濃度が高まり、さらにトノサマバッタを誘引して群れが大きくなっていくというポジティブフィードバックループが生まれる。
4VAは揮発性物質であり、人間は甘い香りだと感じる。研究チームではトノサマバッタの触角を調べ、群生相・孤独相ともに4VAに強く反応する嗅覚ニューロンを特定した。さらに嗅覚受容体OR35が4VAで選択的に強く活性化することを確認している。ゲノム編集技術CRISPR-Cas9を用いてOR35遺伝子を欠落させたところ、トノサマバッタは4VAに反応しなくなったという。また、粘着式トラップを使用した実験でも4VAの誘引効果を確認している。実験での誘引効果は控えめなものだったが、より効果的なトラップの開発につながることが期待される。
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