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水素が「宇宙一クリーンなエネルギー」 現実化に近づく
RX-8ハイドロジェンRE(画像: マツダの発表資料より)[写真拡大]
23年前、「地球温暖化防止京都会議(COP3)」で目にしたこのフレーズが、現実化されようとしている。
●COP3でのBMW水素燃料車
1997年12月、国立京都国際会議会館で開催された、「第3回気候変動枠組条約締約国会議(地球温暖化防止京都会議、COP3)」で12月11日に採択されたのが、「京都議定書」である。
この時、BMWは水素燃料車を展示していた。
ここで入手したBMWのパンフレットには、「宇宙で一番クリーンなエネルギーは、太陽光発電で得た電気を用いて、水を電気分解して取り出した水素だ」(原文英語・筆者訳)とあった。
展示してあった実車を前にして、その場に居合わせた担当者に聞いたところでは、当時既にBMWはドイツ国内の或る空港と、その周辺エリアを設定して、実証実験をしているとのことだった。
実証実験での問題点を訊ねたところ、「燃料タンクを満タンにして置いても、一定期間が経過すると、自然に減ってゆく」という。勿論、他にも問題点はあっただろうが、無難な回答をしたのだろう。
●水素の特性
子供のおもちゃの風船は、現在は「ヘリウムガス」で浮揚させているが、昔は、「水素ガス」で浮揚させていた。ところが、水素ガス入り風船は、引火爆発等の事故があったりして、現在は禁止されている。
ドイツの飛行船「ヒンデンブルグ(Hindenburg)」の爆発事故も、船体外皮の静電気の放電による発火が原因との説が有力だが、浮揚ガスがヘリウムであれば被害状況は大きく異なったであろう。しかし可燃性が高い水素を用いていたのが致命的だった。
年配の人には懐かしい、子供の頃に街で配っていたり、遊園地で買ってもらった水素で膨らませた風船は、翌朝には浮揚する力が無くなり、元気なく床に着地していたものだ。これは、水素の分子が小さいから、風船材料のゴム分子の間を侵入通過して、外に漏れてしまうからだった。
マツダの水素燃料車は、一時期「水素吸着合金」を用いて、燃料が逃げる事象の対策をしていた。最近は、例えばRX-8ハイドロジェンREの場合、110リッター35Mpa(350気圧)の高圧水素ガスタンクを使用している。
●その他の水素燃料車の課題
BMWの水素燃料車は、おそらく1本のシリンダー内で4行程を行う、レシプロエンジン故の、水素燃料ならではの課題等も抱えていたのは想像に難くない。
水素エンジンの実用化では、水素がエンジン内の高温部分に触れ、早期着火(バックファイア)することが課題だ。
●水素ロータリーの優位性
ロータリーエンジンは、「吸気」室と「膨張(燃焼)」室が完全に分かれているため、プラグが設置されている燃焼部分を避ければ問題なく、インジェクターのレイアウト自由度が高まり、直噴に適している。
2050年に、域内の温暖化ガスの排出を実質ゼロにする目標に向け、欧州連合(EU)が打ち出した対策に、柱となると考えられているのが「水素を中心としたエネルギーシステム」であるとされる。未来は「水素社会」となるかもしれない。
水素インフラが充実し、究極のクリーンカーである「燃料電池車」と「水素エンジン車」が普及することに大いに期待したい。
最後に、ひねくれ者の筆者が毒を吐くと、世界レベルで「地球温暖化」が問題だとして、CO2(二酸化炭素)排出量削減に狂奔しているが、地球の気候は「“温暖化”~氷河期に代表される“寒冷化”~“温暖化”」を繰り返している。
北極、南極の氷が溶け出して海面水位が上昇する場面が多く報道され、CO2排出が喫緊の課題だというのに異論は無いが、氷河期に向かうタイミングには、逆に積極的に「地球寒冷化対策」としてCO2を排出すべきだと騒ぐのだろうか?
勿論、氷河期が来る頃まで生きている筈も無いが。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る)
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