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上場企業、アパレルに改善の兆し EC好調、店舗再開で改善も厳しい経営環境続く
帝国データバンクがアパレル関係上場企業について調査[写真拡大]
新型コロナ感染症の拡大に伴う2月下旬からの外出自粛要請や4月の緊急事態宣言発令に伴う休業要請によって多くの業種で経営環境が悪化した。6月以降も新型コロナ関連倒産は勢いを増しており、特にインバウンド需要を喪失した観光業や外出自粛によって客足を失った飲食業での不調が目立つ。
アパレル業界も外出自粛による客足の減少や百貨店が休業となったことなどから小売や卸売、製造にいたるまで大きな損失を被っている。5月には大手アパレル企業のレナウンが経営破綻し連鎖倒産も危惧された。
17日、帝国データバンクが緊急事態宣言の解除された後の6月分における上場企業を対象にしたアパレル業界の現況について調査・分析したレポートを公表している。調査の対象となったのはアパレルを中心とした衣服類販売を手がける上場企業のうちホームページなどで月次売上高を公表している24社だ。
レポートによれば、集計対象となった24社のうち2020年6月の月次売上高が全店ベースで前年同月を下回ったのは15社で全体の62.5%を占めており、逆に前年同月を上回ったのは9社で全体の37.5%となっており去年のレベルまで回復しきれていない企業が多数派のようだ。
しかし、EC販売を行っている企業では引き続き好調を維持しており、また多くの企業が宣言解除後には全面的に実店舗の営業も再開しているため約4割が前年同月を上回る結果となっている。中でも緊急事態宣言下においても好調を維持していた西松屋チェーンとワークマンのほか、しまむら、ファーストリテイリング、コックスは、前年同月を20%超える好業績を出している。
実店舗の営業を再開したものの前年同月の水準まで戻らなかった15社についても前年同月比の減少幅は5月と比べて縮小しており改善傾向が見られる。6月の前年同期比の減少幅についてみると、50%以上減少した企業は存在せず、30%以上40%未満の減少が2社にとどまっている。20%以上30%未満はゼロ、最多は10%未満の8社で全体の53.3%と半数以上を占めている。
全体として来客者数の改善がみられるものの、消費マインドも十分戻ってきている状況ではなく、多くは未だ前年のレベルには回復していない。月次の売上高も回復の兆しが見られるものの厳しい経営環境が続いている現況のようだ。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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