集中力のない子どもは「便秘」が多い? 脳と腸の密接な関係

2020年7月2日 07:11

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 最近は食生活の変化から、便秘になっている子供が増えているという。たかが便秘と思われるかもしれないが、子供の便秘は集中力の低下を引き起こし、さらには学力自体が下がってしまう。免疫力も低下するので、子供の成長に大きく影響が出るというのだ。

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 その原因と、どうしたら便秘を回避できるのか紹介したい。

■腸は第2の脳である

 脳の成長には、腸内の環境が大きく関わるという。実は生物の進化において、腸は「脳」という存在が出来上がる前から身体に存在していた。今でも脳を持たない生物のイソギンチャクやクラゲなどは、腸でものを考えていると言われている。それだけ腸と脳の関係は深く、「第2の脳」とも言われているほどだ。

 2007年のアメリカとフランスの共同研究では、腸内細菌が生産する「酪酸」が、脳の機能に大きな影響を与えるということが確認された。腸内の細菌の影響によって、脳内の海馬が増大し、神経細胞の成長にも関わるという。

 つまり健全な「腸」が、賢い「脳」をつくるのだ。

■便秘が引き起こすもの

 ところが、便秘が続くと腸内で「腐敗」が起こり、腸内細菌に悪影響を及ぼす。それは脳にダイレクトに伝わり、頭の働きが悪くなる。便秘の不快感もあいまって、集中力も低下する。

 さらに身体の「免疫細胞」のほとんどが腸の中にあるため、免疫力も下がり病気にかかりやすくなる。子供に健全に育ってほしいと願うなら、まずは便秘をさせないことだ。

■子供の便秘を改善する3つのキーワード

 子供の便秘を回避するには、食事、運動、そしてヨーグルトがカギである。

 まずは色々な野菜や海藻を取ること。食物繊維が多い野菜は、便の量を増やして排出をうながし、腸をきれいに掃除する役割がある。

 また運動をすると、便を出すときに使う「腸腰筋」という筋肉を鍛えることになる。この筋肉が未発達だと、便を上手く出すことが出来ない。特別な運動は必要ないが、積極的に身体を動かす工夫をする。

 ヨーグルトの優れた点は、腸内細菌を整えてくれることだ。しかし、市販されているヨーグルトには製品によって使われている「菌」が違う。そのため、人によっては合う、合わないもあるだろう。色々な種類の菌を摂取するためにも、固定せず色々な種類を食べるようにする。

 腸は単なる消化器官ではない。たかが便秘、と気楽に考えていると、子供の将来までも左右することになりかねない。もはや「腸活」は、ダイエットや美容のためだけではなく、頭も育てる活動なのだ。

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