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パチンコホールの倒産、前年の2倍のペース
東京商工リサーチが5月の「パチンコホール」倒産状況を調査[写真拡大]
警視庁が3月に公表した「令和元年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について」によれば、2019年末のパチンコ許可営業所数は前年比421店減の9639店となっており1万店を割った。パチンコ店数が1万店を割り込むのは81年の9807店以来38年ぶりで95年の1万8244店をピークに一貫して減少傾向が続いている。
かつてパチンコ産業は30兆円産業といわれ栄華を極めていたが、今やその華やかさは失われ斜陽産業の一つとなっている。この店舗数減少の背景には遊技人口の低下があり、95年には3000万人と推計されていたが現在では1000万人を割り込んでいると言われている。
その要因としてはパチンコのギャンブル性の低下にあると言われている。かつてのパチンコの高いギャンブル性がギャンブル依存症などの社会問題を誘発し、現在では厳しい規制が設けられギャンブル性は大きく低下している。こうした厳しい経営環境にあるパチンコ業界であるが新型コロナ感染症がさらにパチンコ店の経営を困難にさせている。
5日、東京商工リサーチが5月における「パチンコホール倒産状況」のレポートを公表している。レポートによれば、5月のパチンコホールの倒産は2件で前年同月に比べ100.0%増となっている。1月から5月の累計は12件で同100.0%増とやはり前年同期6件の2倍増に急増している。このうち新型コロナウイルス感染症対策の影響による倒産は5月までに3件発生しており件数を押し上げている。このままでは6年ぶりに年間30件を突破する勢いだ。
5月25日、緊急事態宣言が解除されパチンコホールへの休業要請は徐々に解除されているものの東京都の規制緩和ロードマップではパチンコホールは「ステップ3」に分類され未だ解除の見通しは立っていない。東京都の業界団体は休業を継続するか否かの判断を各店舗に委ねる方針に転換しているが、これは休業の長期化により事業継続が困難になる店舗が出てくることを危惧したためだ。
政府は5月から新コロナ対策の融資や保証の対象をパチンコ業者にも広げ、また警察庁は遊技台規制の期限を1年延長するなどパチンコ業者の破綻抑制策も講じられている。しかし、2カ月に及ぶ休業や稼働率低下など経営環境は依然として厳しく、レポートでは「資金力の乏しい中小・零細のパチンコホールの淘汰は、これから本番を迎えそうだ」と指摘している。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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