九大ら、低温で動作する固体酸化物型燃料電池の電解質材料を開発 低コスト化に期待

2020年5月31日 18:21

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研究の概要(写真:科学技術振興機構の発表資料より)

研究の概要(写真:科学技術振興機構の発表資料より)[写真拡大]

 直接電気を発生できる燃料電池は、次世代の発電システムとして期待されている。科学技術振興機構(JST)は28日、400度の中温度で動作する固体酸化物型燃料電池の電解質材料を開発したと発表した。固体酸化物型燃料電池の低コスト化実現が期待されるという。

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■次世代の発電システムとして期待される燃料電池

 水と酸素とを化学反応させることで電気を発生させるのが燃料電池だ。従来の発電方法の多くは、石油やウランなどを燃やすことで発生した蒸気により発電機を作動させ、電気を発生させていた。一方燃料電池は、燃料から直接電気エネルギーを作るため、高い効率の発電が可能だ。排出ガスには環境汚染物質がほとんど含まれないため、ビルや市街地にも設置可能である。

 燃料電池は電解質や作動温度によって、固体酸化物型燃料電池や固体高分子型燃料電池等に分類される。固体酸化物型燃料電池はもっとも発電効率が高いものの、700~1,000度と作動温度が高い。このため高価な白金や耐熱材料が必要になり、材料コストや運転コストが実用化の障壁となっていた。

■作動温度の低下によりコストダウンが実現

 九州大学、宮崎大学などの研究者から構成されるグループが注目したのが、プロトン伝導性電解質だ。これまでは、プロトンだけを選択的に通し、水素や酸素、二酸化炭素、水蒸気に対しては安定する材料が発見されてこなかった。

 研究グループは、ジルコン酸バリウムにスカンジウムを60%という高濃度で添加することで、新しいプロトン伝導性電解質材料を開発した。これにより、400度の中温度でもプロトン伝導性が200時間一定以上維持されることが実証された。98%の高濃度の二酸化炭素を充満させた状態でも、240時間以上安定状態が維持されたという。これにより白金や耐熱材料が不要になり、大幅なコストダウンが可能になるという。

 研究の詳細は、国際エネルギー科学誌Advanced Energy Materialsにて28日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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