マツダ、ホンダ、日産、生き残れるのか? (4) 新車販売台数から見える格差拡大

2020年5月20日 07:17

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 先日、日産自動車はスペインの工場を閉鎖し、イギリスの工場でルノー車の生産委託を引き受ける方向で検討していることが報じられた。連合の3社すべてが赤字転落しているようだ。この様子でトヨタも生産拠点の閉鎖まで追い込まれると、「TNGA」の限界と見なせるだろう。

【前回は】マツダ、ホンダ、日産、生き残れるのか? (3) インテリジェントファクトリ―も生活の場

 言い換えると、「ルノー・日産」は既に限界を超えていると見えるのである。これは基本的に、アライアンス3社が同一企業であるように生産システムを整理するチャンスではある。しかし、このどさくさにフランス・マクロン大統領の思惑通り、ルノーが日産を吸収しフランスの統治下に置かれるのだろうか。

 さて、自動車大手の決算書の詳細分析は、前年度に限っては、私は行わない。あまり有効な数字は得られないのが分かっているからだ。しかし今年度の決算では、筆者に根気が残っていればだが、詳細に分析すると自動車製造業の「ビジネスモデル」構築に有効な数字が得られるかもしれない。それでも企業秘密である数字を分析しなければ、面白い結果は得られないだろう。単に、「TNGA」の実力の結果論が見えるだけである。

■4月新車販売台数から見える格差拡大

 「2020年4月の新車販売台数」を見てみよう。「前年同月比」で、
 ・【総台数では:28.6%減の27万393台】と大幅な落ち込みだ。
 
 その内、
 ・【登録車総数は:25.5%減の17万2138台】
 ・【登録乗用車は:27.5%減の14万5千台弱】
 となっている。

 ・【軽四輪車総数は:33.5%減の9万8255台】
 ・【軽四輪乗用車は:35.4%減となる7万5千台弱】
 と、新型コロナウイルス蔓延による影響を大きく受けている。しかし、続く5月、6月も経済が停滞していくと、もっと深刻な影響が出てくるものと考えられる。

 4月の数字で注目すべき点は、軽四輪乗用車の影響が大きいことだ。これは、経済への影響が「格差を拡大する」方向に現れてくると見るべきで、これからの動向を注視すると共に、一刻も早く有効な手立てを実行していかないと、損害が大きくなりすぎる。つまり、経済的底辺が立ち直れなくなる危険が生じてしまう。

 また、全体の販売台数の中で乗用車の下落率が大きいのは、「必要不可欠」なトラックなど商用車は求められ、「どうしても必要とは言えない」乗用車は後回しとなっていることが推察できる。これは単なる不況ではなく、「外出自粛」状況の中での特徴であり、「余裕をなくしている市況」の現れと見るべきだろう。つまり、「自粛」が続くと経済的底辺ほど、そして産業構造で言えば財務的構造で弱いサービス業が一番に深刻であるということだ。

 このような自粛の中で、産業としては含み資産のない「サービス業」がもっとも影響を受ける可能性が高い。つまり、イベントや芸能関係などだ。スターは生き残るとしても、その世界の底辺が消えてしまう。そのため、今まで政治に関心を見せなかった芸能人たちが、「検察庁法改正反対」で不満をぶつけているのかもしれない。仕事が急減して不満がうっ積してきているのであろう。

 芸能プロダクションもいつまで耐えられるのかだ。サービス業が耐えられなければ自動車も売れなくなる。経済はすべてが連動しており、「お客様は、国民」であることの現れだ。

 最後に影響を受けるのが農業、製造業で、経済活動の復活は重工業から行い、サービス業が一番後からとなるのが理にかなっている。そのためサービス業は経済が縮小する場面では、一番犠牲になる危険が高いのだ。

 しかし、日本政府が「犠牲を覚悟した」とは到底思えない。恐らくは、日本政府の思慮が官庁ごとの縦割り状態のまま分断されているのであろう。そのため対策が産業政策として理にかなっておらず、混乱していくことが高い確率で考えられる。

 その時、注意が必要なのは、社会が危険水域に入らぬように、政府は危機感を社会と合わせるべきなのだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

続きは: マツダ、ホンダ、日産、生き残れるのか? (5) 「出来ない理由」は解決すべき問題

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