増加する海外留学者数 『小中学校』への留学も

2020年5月20日 12:14

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 国際化を視野に、子供たちの海外留学を国が支援するプロジェクト「トビタテ!留学JAPAN」が始動し7年が経つ。支援対象は現在高校生・大学生に留まるが、日本は国を挙げて海外への留学者を増やすことに注力している。将来の日本を牽引する、グローバルリーダーを育成していくためだ。

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 中学生以下の留学生奨学金制度に関しては実施団体がほとんどないにもかかわらず、小・中学生、また幼児を連れての親子留学の件数も右肩上がりだ。東南アジアなどへのコストを抑えた留学や、不登校の子供の再チャレンジの場としての留学も選択肢に上がっていることも、理由の一つかもしれない。
 

■誰が留学を決めるのか?

 我が家の体験談になる。当時小学4年生だった長男の場合は、幼少期からの英会話教室で英語に抵抗はなかったこともあり、フィリピンへの短期親子留学を提案した時にも難色を示すことはなかった。むしろまだ見たこともない海外への期待に胸を膨らませていた。

 現地では、実際に自分の知らない世界での生活様式、街の景色、ボランティア活動など様々な体験のひとつひとつに驚きと学びがあったようだ。彼のつたない英語が通じて、現地の同世代の友達が出来たことも大きかった。

 そして帰国の途に就く中、彼自身の口から「もっと(ここに)いたいなぁ」という言葉が出た。それがきっかけとなり、親は動いた。そしてそこから半年後、インター校へ編入するという選択と意思決定を、長男自身が下すこととなる。

■子供の成長段階とその主導権

 留学決定の主導権を誰が握るのかは、子供の成長段階により異なる。中高生ともなると本人の意思が必要不可欠であろうが、幼児期の親子留学は親がその決断を下す。

 では小学生に関してはどうだろう。中学年・高学年ともなると、自己決定なのか他者決定なのかは一人一人の子供の成長段階や性格により大きく異なり、「一般的には」という大きな括りが難しくなる。

 個人的には親主導の留学は10歳以下が望ましいと思っているが、これは他者意識が発達し、成長に大きな変化が訪れる9~10歳の壁を一つのボーダーラインと考えるからである。また、小学4・5年生の学習内容ともなると難易度が高くなるため、正規留学(編入学)の際は特に、日本の公立校で学習をし、英会話教室に通学していた程度では、語彙力、中でもライティングの能力が学校の授業に追い付かなくなってくる。

 それでもその先へ進もうとするならば、親は全力で子供の学習をサポートし、そして子供自身にもそれを乗り越える覚悟はやはり必要である。逆に言いば、本人の意思が強固であり家族の支えがあるのであれば、子供たちはどのタイミングであれ、自分の意志を貫き挑戦していくことが可能なのではないかと思う。

■留学時の英語力の目安

 留学といっても短期・長期、また語学留学から正規留学まで、様々な国と学校の中で幅広い選択肢がある。語学留学であれば考えなくても良いことだが、正規留学となると一般的には受験があり、受験科目や必要とされる英語力の目安は学校により異なっている。面接に関しては本人だけではなく親子面接がある学校や、受験科目に関しては下調べをして「どんな対策が必要か」きちんと事前準備をしておくに越したことはない。

 長男が入学したマレーシアのインター校の受験科目は「面接・作文・算数」だった。面接と作文は対面で行い、算数はパソコンを使っての受験だった。小4当時英検3級を取得してはいたが、無事編入が決まり、いざ教科学習がスタートすると、案の定言葉の壁に苦しんだ。

 言いたいことが発言できない。書きたいことが思うように書けない。「発話」と「筆記」のトレーニング量が圧倒的に少ない日本人の典型だった。相当の努力で克服できるとしても、この先留学をする可能性がある子供たちには、この「話す」「書く」能力を高めるトレーニングを今からしておくことを、強くお勧めしたい。

■親子運命共同体で

 親子留学にせよ、ボーディングスクール等での単独留学にせよ、小中学生の留学では「親子共に」歩むという心構えは必要だ。子供が現地に慣れ、自ら親元を離れるまでは、経済的な支援だけではなく、精神的にも学習面でも子供に寄り添い、励まし、共に学ぶ姿勢を保つ必要がある。また言葉以外に、文化の違いや人間関係でも慣れない海外での苦労はそれなりにあるだろう。

 海外留学は決して華やかなだけの世界ではない。しかし、多感な時期に多様な文化に触れ、様々な国の人々と触れ合うことで、今後の人生を大きく左右する可能性を、若い彼らは得ることが出来るはずだ。(記事:板垣祥代・記事一覧を見る

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