石橋を叩いて渡る ウイルス感染拡大防止に取り組み、業績を伸ばす企業

2020年5月12日 09:02

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記事提供元:エコノミックニュース

早期に緊急事態宣言が解除された場合、再流行を防ぐためには、今以上に感染防止に対する意識が必要だ

早期に緊急事態宣言が解除された場合、再流行を防ぐためには、今以上に感染防止に対する意識が必要だ[写真拡大]

 新型コロナウイルスの感染拡大は未だ終息が見えない状況だが、それでも、長引く自粛生活で経済がひっ迫されていることもあり、各地で緊急事態宣言解除のムードが高まりつつある。もしも早期に解除された場合、再流行を防ぐためには、今以上に感染防止に対する意識が必要だ。

 政府の専門家会議も「オンライン帰省」や「遠隔診療」、「在宅勤務」、「待てる買い物は通販で」など、人との接触を8割減らすための10のポイントを提言しているが、これらはすでに多くの人が出来る範囲で実践しているだろう。

 Instagramメディア「Petrel(ペトレル)」が10代から20代の女性4590名を対象に、Instagramストーリーズを利用して実施した「オンラインショップの利用状況」に関する調査結果を見ても、55.0%もの人が、外出自粛の影響でオンラインショップの利用が増えたと回答している。また、21.0%が外出自粛をきっかけに「初めて利用した」という。

 オンラインショップなどの積極利用は、不要不急外出を減らし、接触の機会を減らす意味では有効な対策と言えるだろう。でもその一方で、「配送時に荷物にウイルスが付着していないか」という心配も拭えない。実際、自宅での自粛生活を完全に守っていたのにも関わらず、新型コロナウイルスに感染してしまった例も出てきている。感染経路は、オンラインショップの宅配しか考えられないという。

 こういった事例を踏まえて、通販事業者でも徹底した対策に乗り出す企業も現れ始めた。

 例えば、蜂蜜やローヤルゼリーなどのミツバチ産品を中心に通販事業を展開する山田養蜂場は、現時点での安全対策の取り組みについて、自社通信販売サイトの特設ページで情報公開しているが、それによると、「商品の取り扱いは免疫グロブリン検査法の自主検査で陰性になった者のみが実施する」ことや、「直接商品に触れない他部門の社員もすべて陰性であることを確認して業務に就いている」こと、「工場へ原材料や資材を入荷する際は、全入庫品を徹底的に除菌消毒している」こと、原材料に関しても殺菌に関する基準を満たす製造体制を徹底し、製造工場では、細かい塵埃や花粉などの外気処理をするための高性能・中性能フィルターを設置して、24 時間換気をしているほか、製造エリアは気圧の高い陽圧状態で、エリア外からの空気が流入しない環境で衛生管理をしていることなどを明記している。

 出荷に関しても、商品を箱詰めして、すべての箱の中を植物原料由来の食品用アルコールを噴霧してから出荷しており、配送業者による置き配対応もすすめているという。

 過剰とも思えるかもしれない徹底ぶりだが、世界を混乱に陥れている人類史上最悪のウイルスだということを考えると、これぐらいの徹底した衛生管理はむしろ当然といえるかもしれない。

 また、これまで対面式の営業が常識だった不動産や自動車業界にも変化が現われている。

 5G通信とロボット技術を活用して、世界初の無人モデルルームを実現したアキュラホームをはじめ、最先端技術を利用した遠隔での接客対応がこれからどんどんシェアを伸ばしそうだ。

 IoTを活用した賃貸物件24時間無人案内システム「LEASE24(リース24)」を展開する ショウタイム24株式会社も、同システムを元に、分譲住宅向けのものを新たに開発し、すでに4月1日よりリリースしている。室内にカメラを設置してライブで映像の確認可能なので、営業マンは自宅でのテレワークでも接客することができる。もちろん、物件に訪れた顧客も接触リスクが大幅に減るので安心だ。

 他国では、規制緩和後すぐに集団感染が発覚して、再流行が心配されるなどのニュースもある。日本でも同じ轍を踏まないよう、政府も企業も、そして消費者個人個人が一丸となって、石橋を叩いて渡る感覚で、この新型ウイルスとの戦いに打ち勝ちたいものだ。(編集担当:藤原伊織)

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