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ソフトバンクグループの自社株買いには、どんな意味があるのか?
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ソフトバンクグループ(SBG)が5000億円を上限として、自社株買いを実施すると発表したのは13日だ。とっさに連想されたのは、SBGの株式約3%を取得した米有力アクティビスト(物言う株主)のエリオット・マネジメント(エリオット)が、2兆円規模の自社株買いをSBGに要求しているという外部圧力が伝えらえていたことだ。
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原資は2月25日に確保されていた。SBGが保有する通信子会社ソフトバンク(SB)株のうち9億5300万株を限度として担保提供し、国内外の金融機関16社から協調融資で5000億円を調達していたが、仕切ったのはクレディ・スイスとJPモルガン・チェースだという。この際、SBGは調達資金を「一般的な事業資金や手元資金の拡充に充当する」と説明していたようだ。
この時点のポイントは、借入の担保として初めて保有するSBの株式を提供したことだ。今まで中国アリババ集団株を担保にしていたことはあったが、何故SB株を初めて担保提供するに至ったのかは、明らかになっていない。
ただ、同時期に邦銀が主体となった別の3000億円規模の融資案件は、各行に足並みの乱れがあるため、塩漬けになっているようだ。資金調達の手法として主力銀行から「アリババ集団の株を売る気はないか?」と打診されたSBGの幹部は、色よい返事をしていないという。
3000億円の融資案件に対する邦銀の足並みは、前向きな銀行から融資に頼らない調達方法をアドバイスする銀行まで、相当のバラツキがある。銀行によって多少の差はあるものの、同一グループに対する貸出総額が限度額に近づいている銀行がある。
SBGのような規模の事業者が動かす巨額な資金の中で、3000~5000億円の資金が持つ重みは限られている。一度財布に入ってしまえば、同額だからと言って融資金だと決めつけて、「資金使途が違う」とクレームをつける野暮な金融機関はないだろうが、今回の発表が一部邦銀の神経を逆なでした可能性はある。
借入条件の詳細が不明であるため、想像が加味されることは了解願いたいが、通常の借入で資金使途が「一般的な事業資金・・・」であれば、1年以内に返済期日が到来する短期借入金ということになる。
当然目論んだ事業計画が成就して回収された資金が返済に充当されることになるのだが、SBGは自社株買いを実施して、取得した株式を消却するようだ。つまりSBGが担保に差し入れたSB株の返却を受けるためには、別に資金を調達する必要が出て来る。SBGは一般的な銀行取引の枠に収まらない企業ということになる。
尚、17日付の米ウオールストリート・ジャーナルは、米証券取引委員会や米司法省が米シェアオフィス大手のウィーワークへの調査を実施していることを理由として、SBGがウィーワークの既存株主から同社株30億ドル相当を買い取る支援策が実施できなくなったと、株主宛てに通知したことを伝えている。奇しくも邦銀との融資交渉が頓挫している金額相当額であるが、関連は不明だ。
SBGの株価が現在と同等のレベルにあったのは3年ほど以前の時期なので、半年から1年程度以前にエリオットが仕込んだSBGの株価は、現時点よりはかなり高額だっただろう。エリオットの関心は、直近ピーク(2月12日終値5751円)から2000円以上下落しているSBGの株価が自社株買いの効果でどの程度回復するかということだ。
5000億円を上限として実施される自社株買いは、3月16日から2021年3月15日までの1年間に渡って実施される。今回の自社株買いがエリオットの希望に沿うものだったかどうかは、今後の両社の遣り取りの中で鮮明になるだろう。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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