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俄かに脚光を浴びた「クレベリン」 大幸薬品のいま
2019年9月に発売された「クレベリン スティック フックタイプ」(画像: 大幸薬品の発表資料より)[写真拡大]
2017年9月7日、財経新聞の企業・産業欄に『兄弟経営者が生み出した100年企業の第2世紀 正露丸の大幸薬品』という見出しで記事を投稿した。柴田仁(ひとし)社長・柴田高(たかし)副社長の兄弟が感染管理事業で有力な商品を開発、上場を果たした経緯を記したものである。
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大幸薬品が仁社長(現会長)の「感染管理事業に目途が立ちましたので、資本市場のお力をお借りしたく上場いたしました」という、記者会見での名言を残し上場したのは2009年3月18日。医学博士でもある高副社長の提言で、殺菌・消臭力に優れた二酸化塩素の液状化・霧状化を実現した「クレベリン」を引っ提げての上場だった。以来「衛生管理」志向の高まりを背景に、収益を着々と積み重ねてきた。
そんな大幸薬品が2月、相次いで「(サプライズ)ニュース」を発信した。
2月10日。今期も「8.1%増収、8.4%営業増益」という着実な計画でのスタートだったが、4-12月期決算を発表したこの日、同時に通期の大幅上方修正を発表した。「30.5%の増収(136億円)、47.8%の営業増益(30億円)、5円増配40円配」。
感染管理事業が4-12月期「前年同期比89.4%増収、146.9%営業増益」となったことが上方修正の牽引力となった。その背景にコロナウィルスによる新型肺炎の広がりがあったことは、論を俟たない。クレベリンは「空間除菌にも対応する」と謳う商品。
同じ10日。「台湾に100%子会社を設立する」と発表した。09年の上場時からECでクレベリンを発売していた。4-12月期で前年同期比80%増の売上高1億円に達していた。当初は知名度も低く年商数百万円程度だったが、18年11月に台湾の「防疫製品」として認証されたのを契機に売り上げ拡大傾向になった。
そこに新型肺炎問題の勃発。台北市に資本金2億5900万円の「台湾大幸薬品品股イ分(ふん)有限公司」現法を4月に設立するとしたのである。
そして14日には、「クレベリンシリーズを1万個、中国に寄付する。2月7日に既に大阪港から船で輸送、上海のグループ会社を通じ武漢・北京・深圳市内の4病院に提供する」とした。
にわかに「注目企業」となった大幸薬品に関し、「株とどう付き合うべきか」という質問を受ける。「常識的な対応が肝要」と答える。昨年2月10日の1672円を起点に高値といっても精々2000円前後で推移していた株価が、今年に入り2月18日の6500円まで急伸。時価4000円台終盤も、「ひと相場出した」と認識する。まずは様子見が賢明な姿勢であろう。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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