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1月の景況感、4カ月連続で悪化 海外動向や暖冬で 帝国データバンク調査
帝国データバンクが1月の景気動向指数を発表し、海外の景気減速や暖冬などを背景に、4カ月連続で指数が悪化したことが分かった。
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■景気動向指数が4カ月連続で悪化
5日、帝国データバンクが1月の景気動向調査を発表した。1月の景気DI(動向指数)が41.9で、2019年12月の42.5から0.6ポイント減少となり、19年10月から4カ月連続で悪化となった。
アメリカと中国の貿易協議の合意や5G(第5世代移動通信システム)向けの動きは好材料となる一方、暖冬による季節需要や農業の落ち込み、海外経済の減速にともなう製造業の低迷、中国発の新型肺炎、燃料価格の上昇などがマイナス要因となった。
■オリンピック効果で広告需要が好調
業界別では前月から改善したものと悪化した業界が半々となった。改善した業界は、金融(1月:44.8、前月比0.3ポイント増、以下同じ)、不動産(45.9、1.7ポイント増)、小売(36.3、0.5ポイント増)、サービス(49.5、0.7ポイント増)、その他(42.7、1.0ポイント増)。
サービスでは東京オリンピックに向けた広告関連の需要が高まっている他、気温が高めに推移したことで営業が可能となったゴルフ場が奏功したという。
■幅広い業種で人件費が増加
悪化した業界は、農・林・水産(1月:38.4、前月比:3.3ポイント減、以下同じ)、建設(50.0、1.6ポイント減)、製造(37.6、1.0ポイント減)、卸売(37.9、0.5ポイント減)、運輸・倉庫(39.5、3.1ポイント減)。
建設は新設住宅着工戸数の減少、暖冬による除雪需要の減少、人件費などの高騰が原因。運輸・倉庫でも人手不足が原因となっている他、製造業や建設業などの低迷で荷動きが停滞しているという。
■暖冬で東北や北陸が不振
企業規模別では、大企業(1月:45.3、前月比:0.4ポイント減、以下同じ)、中小企業(41.1、0.5ポイント減)、小規模企業(41.4、0.7ポイント減)のいずれも悪化した。全ての規模で悪化となったのは4カ月連続。
地域別では、南関東(44.5、0.2ポイント増)と九州(45.2、0.1ポイント増)のみ改善しており、その他の8地域は悪化となった。特に東北(38.5、2.1ポイント減)、北陸(37.5、1.9ポイント減)で悪化幅が大きかった。暖冬による除雪作業の減少やスキー関連の低迷が要因となった。
■「緩やかな後退が続く」見通し
2月の景気DI見通しは1月から0.4ポイント減少の41.5。その後は3月こそ横ばいとなるものの、ほぼ右肩下がりを予測しており、半年後の7月には40.1、1年後の2021年1月には38.5まで下落すると見ている。
好材料として東京オリンピックなどをあげているものの、マイナス要因が多い。海外経済の動向を最大のリスク要因としつつ、新型肺炎の拡大、アメリカと中国の貿易摩擦、イギリスのEU離脱後の展開、中東情勢をあげた。その他には燃料価格の上昇や人手不足による企業のコスト増、訪日客の一時的な減少もあるとして、見通しは緩やかな後退が続くとしている。(記事:県田勢・記事一覧を見る)
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