関連記事
シニア世代の人材斡旋に特化した企業の意義
時代に呼応したビジネスは、成長の糊代が広い。
【こちらも】働き方改革における高齢者の就業促進と70歳超の年金受給開始の狙いは?
50歳以上のシニア人材に特化した人材派遣・人材紹介を展開する企業にシニアジョブがある。2012年の創業以来、35社余りに年間600人以上のシニアの転職をサポートしている。
業種は幅広い。会計関連部門(税理士・社会労務士・行政書士・会計事務所スタッフ)や自動車修理部門(1・2・3級整備士)。薬剤師・保育士・看護師・建設施工管理士・看護師、そして医師・弁護士まで及んでいる。求人登録を行っている企業は目下、1352社に及ぶ。
ものは試しと、私も登録してみた。「ジャーナリスト」として。翌日早々に電話があり、「現段階では、該当する分野の展開がありません。今後対象市場を広げていく方針で、適宜な仕事が出てきたら電話でご連絡します」と、実質上の不採用。
70歳という年齢に問題があるわけではない。「ご紹介した方の平均年齢は62~63歳。最年長の方で77歳」と聞いた。大手企業出身者も多い。対してクライアント企業の8割方が従業員数100人未満の中小企業。
斡旋する仕事の幅を広げるのと同時に、深耕も図っている。例えば建設業。
建設業界向けの派遣・紹介ではこれまで施工管理人に特化してきた。だが昨年11月には建築士、12月には建設営業職も対象に加えた。
今回のサービス拡充を、シニアジョブでは「クライアント企業からのニーズの高まりが最大の要因。派遣・紹介の態勢を整え踏み切った」としている。建築士にまで拡充したことで設計や調査、診断、コンサルティングなどの需要にも対応することが可能になった。
建設営業も建設業界の営業職ならではの特殊性が背景にはある。「なんらかの資格を有していることが条件ではない。が、技術的な知見を求められるケースも多いことが建設営業と他業界の営業との違い」とする。
これまでは社内で育成してきた。しかし人材不足が深刻化する中で「シニアの建設営業職は即戦力として、また次の世代の戦力を育てていくための教育的スキルを求められるケースが増えている」という。
さらには「建設分野はまだまだ深耕できる」と見ている。建設や土木、また隣接するプラントや建材などの業界にも手が届くからだ。
建設営業職に関しても今後サービスが「化ける」可能性を秘めている。建設業界は人と人のつながりで仕事を受注することが多い。これまでの経歴で培ったパイプを活かし『顧問』として紹介するのも、今後の展開として視野に入れているという。
建設業界で人が循環する形を整えられれば、多くの中小建設事業者にとって商機を得る機会も増える。少子高齢化/知見者不足という潮流の中でシルバーの流動化を図るビジネスは注目に値する。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
スポンサードリンク