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ブラックホールの周囲を回る惑星が存在する? 鹿児島大などの研究
巨大ブラックホールの周りを回る「惑星」の想像図。(c) 鹿児島大学[写真拡大]
惑星は恒星の周りに存在する、というのがこれまでの常識であった。しかし、鹿児島大学と国立天文台の共同研究チームは、銀河中心の巨大ブラックホールの周囲にも惑星が存在するのではないか、とする理論的予測を提唱した。
誰もが知るように、地球からもっとも身近な惑星は太陽系を構成する残り7つの惑星である。しかし太陽以外の恒星も、その周囲に惑星を持っている。最初にそれが確認されたのは1995年のことで、発見者であるマイヨールとケローはその功績により2019年のノーベル物理学賞を受賞している。
以来、太陽系外惑星に関する研究は進展し、既に3000を超える恒星の周りで惑星が見つかっている。
ちなみに惑星というのがどういう具合にできるかというと、若い星の周りの原始惑星系円盤に、マイクロメートルサイズの岩石の塵が氷をまとって存在している。この塵がお互いにぶつかることが繰り返されると、やがて「高空隙率ダスト」と呼ばれるふわふわとした状態になる。高空隙率ダストがさらに衝突を繰り返すと、やがて微惑星に成長する。
これは恒星の周りにできる惑星の形成メカニズムであるが、今回研究グループは、この高空隙率ダストの形成理論を、巨大ブラックホールの周囲に適応したらどうなるかということに着想し、理論計算を行った。
すると計算上では、巨大ブラックホールから10光年ほどのところに、地球の10倍ほどの大きさの、岩石と氷からなる惑星が1万個ほどできると推測されるという。
さて、問題はこの理論をどうやって検証するかである。光を発さないブラックホールの周囲の小天体を観測する手段は、現在のところ残念ながら存在しない。しかし、今後の観測手段の開発において、この可能性を念頭に置いておくことが重要になると考えられる。
なお、研究の詳細はアストロフィジカルジャーナルに掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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