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自動車業界も「構造不況業種」に突入? EVとAIの普及は雇用を半減させる?
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東京モーターショー2019を訪れる機会はあっただろうか。EVのコンセプトカーがSUVで各社から出展されていた。そして、トヨタからは市販車の展示は1台もなく、「未来」を連想させるものだけだった。
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しかし、「EVは雇用を半減させる」「いや3割程度だ」と議論が起きている。これに加えて、AI導入でどれほどの雇用が失われるのだろうか?銀行から始まっているリストラの嵐は、足元の世界経済の変調がきっかけだったとしても、自動車業界においても「構造不況業種」になって強まって行くのかもしれない。
自動車製造ラインの自動化は、AIの導入があっても半減という大きな変化にはなるまい。すでにロボット化が進んでいるからだ。それよりも、事務系・開発系・営業などの間接部門で大きくリストラが進むことになるだろう。
しかし、EV化による部品点数の減少、シェアリングによる販売台数の減少は、生産ラインにも大きく影響してくると考えられる。「持続的リストラの時代」、すなわち「構造不況業種」突入だ。これは思ったより早期にやってくるのであろう。
今回、世界の自動車業界でのリストラ合計人数は7万人超となり、10万人と言われたリーマン・ショックに迫る規模となるようだ。部品メーカーなど関連企業の裾野が広い自動車業界では、リストラは表面に現れた人員削減よりも巨大な影響が考えられ、世界経済に底流としてリストラの方向性を作り出すものと考えられる。
かつて無敵の巨大企業であったGMは省燃費の流れに乗り遅れており、TNGAのような生産システムの更新も手が付けられていない。GMはアメリカ国内の3工場を閉鎖し、世界7工場の閉鎖によって1万4千人のリストラとなる。
フォード・モーターも工場の作業員を1万2千人リストラし、省燃費の小型車の開発を進めてこなかったツケが回ってきている。つい2年前、フォード社長は「利益率が高い大型車の生産販売で利益を上げていく」と主張していたが、これは金融知識の基づく「投資感覚」の誤りで、アメリカ企業が抱える「目先の利益優先」の姿勢が出ていた。
これから自動車業界は「ビジネスモデル」の変革を予想しなければならず、サプライヤーを含めた生産拠点の配置と、「スイング生産」「順序生産」の実現を本気で出来ないと、「ネットで受注する時代」に対応できない。開発・生産・販売・サービスなど全てのシステムの見直しが必要な時期である。これは数年で実現できるものではなく、先行出来ているのは世界で数社となろう。
技術開発投資の中に「新ビジネスモデルに対応した生産管理システム」の開発費が必要だ。意外に、「テスラの失敗と成功を復習」してみるのが有効であろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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