トヨタ、インホイールモーターカー開発 ワイヤレス給電はバッテリーより実用的か?

2019年11月2日 14:54

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インホイールモーターを動力とするレクサスのEVコンセプトカー「LF-30 Electrified」(画像: トヨタ自動車の発表資料より)

インホイールモーターを動力とするレクサスのEVコンセプトカー「LF-30 Electrified」(画像: トヨタ自動車の発表資料より)[写真拡大]

 トヨタが、EVの構造としてインホイールモーター(IWM)を開発していることが分かった。これは当然と言わねばならないし、4輪ホイールの中に納まったモーターを個別に制御することが、走る安全性から見ると理想形であるのは知れたことだろう。さらにモーターが小型化されていけば、バネ下重量の問題などを解消して実用化が進められるであろう。

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 バッテリーについては、トヨタが先行して全固体電池の開発を進めており、そのエネルギー集積率が3倍になると、ガソリンエンジンのガソリンタンクの容量と勝負が出来るようになってくる。しかし、当分はコスト高となることが考えられる。それに対し、ワイヤレス給電方式のインホイールモーターでは、重いバッテリーを車両に積む必要がなくなり、バッテリーのコストも削減できるため実用化に向いていると考えがちだ。

 確かに車両重量は下がり、このワイヤレス給電とEVの組み合わせは実用的かもしれない。しかし、ワイヤレス給電のコイルを埋め込み充電するとしても、社会インフラとしての普及には時間がかかってしまう。都会部は普及が早いとしても、地方では家庭で充電する使い方が理想形だ。

 するとバッテリーの性能向上が必要となり、ワイヤレス給電装置は充電スタンドの装置として優れていると言える。すなわち、バッテリー容量は現在の実用的目標値「1充電で500km」ぐらいを見込めることを狙い、給電装置はワイヤレスとする組み合わせが有望となるだろう。

 考えられるのは、2つのEVの開発方向だ。安価なシティーカーとオールマイティーな本格的車両と2極化するかもしれない。軽4輪車枠では、インホイールモーターでワイヤレス給電車両が断然有利となるだろう。

 パッケージングでは室内空間を最大限にとれるはずで、エンジンルームなしで済むことが大変有利だ。都市部ではワイヤレス充電コイルを多く設置して、バッテリーの容量を局限すると、便利なシティーカーが登場する。

 インホイールモーターはパッケージングに有利であり、操縦性についても有利だが、問題はバネ下重量の増加だ。「第46回 東京モーターショー2019」(一般公開:2019年10月25日~11月4日)で、トヨタはインホイールモーター(IWM)のEVを2車種出展し、EV化の究極の形を模索している。しかも、現実的に発売を目指して開発しているようだ。

 インホイールモーターの開発や実験には、自動車レースが良いはずだ。バネ下重量が重い中で操縦性がその程度に出来るのか、それを突き詰めていくにはプロのレーサーが向いている。ゆくゆくはスポーツカーの理想形としてもインホイールモーターEVとなり、これは近い将来の自動車の流れとなることが期待される。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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