カシオの新事業は「ネイル」 撤退事業を生かした技術で市場開拓へ

2019年11月1日 18:39

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実証実験を行うプロトタイプのネイルプリンター。(画像: カシオ計算機の発表資料より)

実証実験を行うプロトタイプのネイルプリンター。(画像: カシオ計算機の発表資料より)[写真拡大]

 10月31日、カシオ計算機はコーセーと共同で、ネイルプリンタの開発に乗り出すことを明らかにした。ネイルプリンタには、近年撤退したページプリンタやデジタルカメラ事業で培った技術が生かされるという。

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 カシオのページプリンタは1985年の発売以来、ビジネスシーンで支持されてきたが、赤字の影響を受け2017年3月31日をもって販売を終了。デジタルカメラも1995年に発売した「QV-10」を皮切りにヒット製品を連発するも、2018年に事業から撤退している。カメラ事業は全盛期に約1,400億円もの売上高を誇っていたが、近年はスマートフォンの普及もあり、赤字体質に悩まされてきた。

 両事業ともに採算がとれなくなったとはいえ、惜しまれつつ幕を下ろしたのが記憶に新しい。しかし、事業こそなくなれど、長年磨き続けた技術は失っていない。ネイルプリンタには、フォトプリンタに搭載されていたインクジェット機能や、デジタルカメラの画像処理技術が用いられる。

 肝心の性能はというと、手描きでは困難な高精細なデザインも可能である。印刷にかかる時間は、1本あたり約15秒。独自の爪輪郭認識技術と湾曲補正技術で、爪の隅々まで美しく印刷できるという。

 同社は今年6月、ネイルサロン「FASTNAIL(ファストネイル)」にプロトタイプを設置し、テストマーケティングを実施。そこで直面した課題は、作業の効率を高める上での「貢献度」だ。プロトタイプができるのは、絵のプリントのみ。ベースジェルなど絵を描く以外の工程では人の手が必要で、作業全体の効率を向上させるには至らなかった。

 コーセーとの共同開発では「全自動」のネイルプリンタを目指す。12月には実証実験として、コーセーが東京・銀座に開店する体験型ストア「Maison KOSE(メゾンコーセー)」にプロトタイプを設置する予定。化粧品大手であるコーセーの開発力とブランド力が加われば、新たなスタンダードとなり得る製品とサービスが生まれるかもしれない。

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