「こうのとり8号機」搭載のH-IIBロケット、打ち上げ成功 実験棟「きぼう」とは

2019年9月25日 19:32

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こうのとり8号機(c)JAXA

こうのとり8号機(c)JAXA[写真拡大]

 9月25日未明、こうのとり8号機(HTV8)を搭載したH-IIBロケット8号機が種子島宇宙センターより打ち上げられた。こうのとりの使命は地球から、国際宇宙ステーション(正確にはその中の日本実験棟「きぼう」)へ物資を運ぶことであるが、最大積載能力は約6トンで世界最大級と言われている。

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 9月25日に打ち上げに成功したHTV8は、9月28日に国際宇宙ステーションに到着予定だ。積載物資は宇宙ステーションの乗組員の補給用生鮮食料品をはじめとして、マウスよりも少し大きな動物を飼育し、宇宙での影響を調査するための装置や、地上とのレーザー通信実験に用いられる小型衛星光通信実験装置、小さな重力を発生させ、生物への影響や低重力下の小惑星における粉体の挙動を調査するためのCBEF(Cell Biology Experiment Facility)、小型衛星放出メカ(J-SSOD)、3基の超小型人工衛星など盛りだくさんである。

 ところで、国際宇宙ステーションについては聞いたことがあっても、その一部を構成している日本が開発した実験棟「きぼう」については、知らない人も多いのではないだろうか。せっかくの機会なので今日は「きぼう」についても紹介しておこう。

 日本で開発された探査機はすべて無人のものであったが、「きぼう」は日本初の有人宇宙施設で、最大4名の滞在が可能である。開発には24年の歳月を要し、打ち上げはNASAのスペースシャトルによって3回に分けて行われ、2009年7月19日に完成を見た。

 開発当初から2010年までに日本がかけた費用は約7100億円で、2011年以降の年間運用費は、今回のこうのとりによる物資の補給の費用も含めて約400億円と言われている。

 実はこの国際宇宙ステーションは、人間が宇宙で建造した構造物としては最大であり、都会の真っただ中においても肉眼で航行中の雄姿を確認できることを知っているだろうか?

 地上から見える位置と時刻を予報してくれるサイトもある。”「きぼう」を見よう”でキーワード検索すれば、すぐにそのサイトが見つけられるため、そこで自分の住んでいる地域に最も近い都市を選択してみよう。そうすれば次回出現時刻や見える方向を教えてくれる。

 念のために伝えておくが間違っても天体望遠鏡で見ようとは考えないでほしい。移動速度が大きいため、天体望遠鏡の高倍率では追跡不可能である。まずは肉眼で雄姿を確かめよう。慣れれば双眼鏡で眺めることも可能になるが、そうなるためにはかなりの慣れが必要であることにもご留意願いたい。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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