小惑星リュウグウは2種類の物質で構成 はやぶさ2プロジェクトで明らかに

2019年8月26日 20:22

印刷

小惑星リュウグウ上の岩。所々に明るい部分が見える (c) MASCOT/DLR/JAXA

小惑星リュウグウ上の岩。所々に明るい部分が見える (c) MASCOT/DLR/JAXA[写真拡大]

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が運用する「はやぶさ2」探査機が調査を続ける小惑星リュウグウ。2018年10月にはやぶさ2から分離した「MASCOT(マスコット)」が撮影した映像の分析結果が、米学術誌Scienceで報告されている。

【こちらも】小惑星リュウグウに「おむすびころりんクレーター」誕生

■2種類の物質からなるリュウグウ

 独航空宇宙センター(DLR)が運営するMASCOTは、10キログラム程の大きさの小型着陸機だ。推進装置をもたないMASCOTは自動落下で約850メートル長のリュウグウ上に降り立った。だが、遠隔操作でリュウグウ上を移動できる。遠隔操作可能なMASCOTは、リュウグウ上を加速・減速回転するだけでなく、ホップして移動することもできるという。

 MASCOTは17時間にわたって、リュウグウ上の巨礫のはざまで実験を実施した。搭載されたカメラから、多くの岩はカリフラワー状で尖った部分が存在するが、その部分は僅かに明るいことを示している。これは、リュウグウ表面が2つの異なるタイプの岩から成り立つからだという。

 2種類の物質は均等にリュウグウ表面上に分布している。このことから、リュウグウは異なる物質から構成された2つの天体の衝突によって誕生したか、あるいは極端に異なる内部温度と圧力条件により2つのタイプの石を誕生させたと、研究グループは推測する。

 リュウグウは、1969年にメキシコのアジェンデや豪州のマーチソンに衝突した2つのいん石に似ていると信じられてきた。だが明るい物質を含むことから、北米に2000年に墜落したタギシュ・レイクいん石と非常に似ていることが判明した。これらのいん石は、太陽系初期の構成要素である炭素質コンドライトのなかでも珍しいCI型に分類されるという。

 またリュウグウ表面には、塵がほとんど存在しないことも報告されている。リュウグウ表面での重力は小さいため、塵は宇宙空間へと放出されたのだという。

■2020年末に帰還予定のはやぶさ2

 はやぶさ2は2018年夏にリュウグウに到達以来、探査を続けている。2019年2月と7月には、リュウグウ表面上へのタッチダウンにも成功した。

 JAXAによると、はやぶさ2は11月から12月頃にリュウグウを離れ、2020年末に地球へ帰還する予定だ。(記事:角野未智・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事