消費増税とポイント還元制度の実施が迫る! (3-3) 生活習慣の変革成るか?

2019年8月24日 19:07

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 決済事業者が乱立状態に陥るほどの過熱ぶりを見せているのに対して、消費者側の動きはクールに感じられる。

【前回は】消費増税とポイント還元制度の実施が迫る! (3-2) 販売業者の動きが鈍い!

 7月にセブンが、キャッシュレスサービスを一気に認知させ、主導権を奪取する目的で始めたセブンペイが、詐欺グループの標的になったあげく、社会の話題を集める程の”大コケ”をみせ、サービス提供を断念したことが響いていると感じる人は多いようだ。

 日本では通貨に対する信頼度が高く、金融機関の店舗網が全国に張り巡らされているため、現金の出し入れに問題があったわけではない。諸外国でキャッシュレスの動きが高まり、現金に係わる社会的なコストが膨大な金額に上ると認識されたことがあいまって、国としてキャッシュレス決済の利用度向上を目指し始めた段階だ。

 消費者は、現金決済に困っていた訳ではないので、”今まで通りのやり方”を切り替えるキッカケがない。コンビニ最大手のセブンが牽引する意気込みだったが、世の中に”キャッシュレス決済”に対する不安感や不信感を高めるという逆効果を生んでしまった。

 若者世代のキャッシュレス決済利用が意外に低いという。PayPayやLINE Payのキャンペーンには目敏い動きをする人達も、”お得”の部分を享受するだけで日常的にキャッシュレス決済を利用している訳ではないようだ。いいとこ取りのつまみ食いには長けていても、日常的にキャッシュレス決済に漬かるつもりはないということか?

 現金至上主義の感があった日本では、今までクレジットカードの出る幕もあまりなかった。スーパーなどで少額の支払いにクレジットカードを出す人はあまり見かけなかったし、後ろに並んでいる人に「現金持ってないのかよ!」と見られているのではないかと、勝手に後ろめたくなっていた人もいるだろう。手持ちのない時の、支払いの繰り延べという意識が抜けない。数万円単位の支払いになって、初めて抵抗なく使われるのがクレジットカードだったような気がする。

 便利だと喧伝されるスマホ決済という支払い方も、スマホを出して、ソフトを立ち上げ、タイミングよくレジ担当者に提示するリズムが出来ていないと、気後れを感じても不思議ではない。

 考えてみると、キャッシュレス決済への移行というのは、生活習慣の大幅な変更なのである。そう簡単に進行しないのは当たり前なのかも知れない。トラブルや事故なく、徐々に慣らし運転をしながら、数年後には国の目標をクリアしていたという状態が理想だろう。やらされ感があるうちは、本物ではないということだ。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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