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集団で卵を守る恐竜がいた 筑波大学などの発見
テリジノサウルス類恐竜の集団営巣の復元図。(復元画提供:服部雅人氏)[写真拡大]
これはいわゆる、「生痕化石」と呼ばれるものの発見である。モンゴル・ゴビ砂漠東部の発掘現場において、獣脚類恐竜の行っていた大規模な卵を守るための「集団営巣」の痕跡が見つかったのだ。研究に参加しているのは、筑波大学生命環境系田中康平助教、北海道大学総合博物館小林快次教授、そして兵庫県立人と自然の博物館久保田克博研究員らの国際研究チームである。
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集団営巣という行為は、鳥類――今日では、恐竜の末裔であるというのがほぼ定説になっている――において広く観察される生態であり、そして恐竜の時代においても既に彼らがそれを行っていることは、複数の化石証拠からほぼ定説となっている。
ただ鳥類は抱卵をするが、恐竜はほとんどのグループにおいて抱卵はしなかったことが、既に判明している。そこで抱卵しない恐竜が、集団営巣時に、卵をどうしているのかについてが問題であった。
今回の研究では、2011年から2018年にかけ5回にわたり発掘が行われ、狭い範囲の中から少なくとも15個の巣の化石を発見することができた。
巣には、卵の化石が3~30個確認され、卵殻の微細構造からして、同じ恐竜が産んだものだと考えられた。なお、卵はおそらく巣の中に埋められて、地熱で温められていたものと推測される(似たような生態は現生のワニの仲間などで見られる)。
この巣が化石となってしまったのは洪水で埋まったためであるらしいが、そうなる以前、孵化した痕跡があると思しき卵も発見された。つまり、この営巣の成功率は高かったのである。高い営巣率を実現するため、親が巣のそばにいたり、巣を守る行動を取るなどして、巣を守っていたのではないかと推定される。これが今回の研究の主な結論である。
なお、研究の詳細は、Geologyに掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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