郵政グループで不正販売、厳しいノルマで保険も投信も顧客利害はそっちのけ!(下)

2019年7月11日 17:46

印刷

 ゆうちょ銀行では主力業務に位置付けた投信販売で、高齢者に対する不適切な事例が数多く発覚した。6月初旬に池田憲人社長が社員向けに送ったメッセージには、「多数の店舗において、多くの社員が社内ルールを逸脱した不適切な取扱いや、販売行為が確認された」と記載されている。直営店が約230であるのに対して200以上の店舗で不適切な事案があったということは、ほとんど組織的と言わざるを得ない。

【前回は】郵政グループで不正販売、厳しいノルマで保険も投信も顧客利害はそっちのけ!(上)

 181兆円という膨大な貯金残高を抱えながら、マイナス金利政策のあおりを受けた運用難と、もともと運用ノウハウを身に着けてこなかったゆうちょ銀行にとって、頼りとする商品が投資信託である。

他の金融商品と同様に、投資信託も確実に顧客に利益をもたらすとは限らない。分かっているのは顧客に販売すると、金融機関には手数料収入があるということだ。金融機関にリスクがなく、確実に手数料が見込める投資信託の取扱いは、ゆうちょ銀行に拘わらず近年一段と高まっている。

 注目を集める投資信託は、複雑な仕組みで成り立っている。元金の保証がないことや、手数料の支払いが必要なことなどは、単なる貯金とは大きな違いがある。理解力が低下した高齢者が思わぬ損失を被ることがないように、「役付き者が同席して、顧客の理解力を確認する」等、各金融機関では厳格な取扱い要領が定められている。

同席した役付き者は「確認印」等を押捺して、書類上に記録する取扱いが一般的だ。その「確認印」が形式的なものだったのなら、17年の後半に自動車業界を揺るがせた「検査不正事件」と同様の事態ということになる。

 商品内容を理解しないまま、元本が保証されていない投資信託を購入させられる高齢者を数多く生み出すという、罪深き所業が行われていたことになる。

 かんぽ生命の保険商品を売るのも、ゆうちょ銀行の用意した投資信託を売るのも郵便局員である。今までは生命保険会社や証券会社で専門的な知識を身に付けた職員が扱っていたものを、郵便局員が扱うところにもともとの危うさはある。加えて、郵便局員は顧客の貯金残高を把握している。郵便局員に寄せる高齢者の根拠のない信頼感を背景にして、多少の強引さがあれば投資信託の販売は可能であろう。

 18年度の投資信託年間販売実績が、9000億円近いとされるゆうちょ銀行だ。実績が上がっていれば見て見ぬ振りをする組織体質そのものも、厳しくチェックされるべきだろう。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事