7月に南カリフォルニアで発生した強い地震による地表の変化を調査 NASA

2019年7月11日 07:38

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NASAが行ったカラーマッピング。(c) NASA/JPL-Caltech

NASAが行ったカラーマッピング。(c) NASA/JPL-Caltech[写真拡大]

 7月4日、5日の両日、アメリカカリフォルニア州南部をマグニチュード6.4と7.1という大規模地震が襲った。過去20年間で最大の揺れを記録したのと、7月4日がアメリカの独立記念日にあたっていたこともあり、アメリカ国内では大きな話題を呼んだ。

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 NASAは7月10日にこの地震で起きた地表の変位を、最新技術を駆使してカラーマッピングを行い、その情報を公開した。

 NASAのジェット推進研究所のARIAチームは、合成開口レーダや連続全地球測位システム(CGPS)などの宇宙ベースの測地計測技術を駆使し、地震発生断層、火山噴火、地滑りなどの情報を収集、迅速な分析を行っている。

 今回のカラーマッピングは、日本のJAXAの人工衛星ALOS-2(陸域観測技術衛星2号「だいち2号」)からの合成開口レーダデータを用いて行われている。2014年5月24日にH-IIAロケット24号機により打ち上げられたALOS-2が搭載する合成開口レーダは、光学センサとは異なり、昼夜・天候の影響を受けずに観測できることが特長である。

 ALOS-2は、2018年11月3日に四日市市で行われた国土交通省による平成30年度大規模津波防災総合訓練で、南海トラフ地震による津波災害を想定した状況において、津波による浸水状況の把握手段として利用された実績も持つ。今後も大きな自然災害発生時に、被害状況を迅速に把握するハイテク機器として活躍が期待されている。

 この南カリフォルニア大地震でARIAチームは、地表の各位置における変位(地震発生前の標高値と地震発生後の標高値の差)の分布状況を迅速に把握し、断層がどこでどの程度発生したかという地震被害状況についてもごく短期間のうちに分析を行っている。

 これらのデータは、この地震でできた断層に起因して将来起こるであろう地震の被害予測マップの作製にも役立てられ、災害に対する備えを万全なものにしていくための人類共通の重要な情報資源として位置づけられてゆくだろう。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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