東北大など、天の川銀河の「端」を観測 銀河系の広さは?

2019年6月22日 16:59

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銀河系の概念図。(画像:東北大学発表資料より)

銀河系の概念図。(画像:東北大学発表資料より)[写真拡大]

 我々のいるこの銀河系の半径は52万光年ほどであったらしい。東北大学、法政大学、東京大学、国立天文台などのメンバーからなる共同研究チームが、すばる望遠鏡のカメラが撮影したデータから、その最遠端を観測することに成功したと発表した。

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 我々のいるこの銀河系は名前を天の川銀河と言う。太陽から銀河系中心部までの距離は約2万6,000光年であるので、今回確認された銀河系の半径は、その20倍ほどになるということだ。

 銀河系は大きく2つのエリアに分かれる。天の川と呼ばれる銀河系円盤部(太陽もここに属する)と、その周辺のハローと呼ばれる広大な空間である。銀河系円盤部には年齢が数十億年くらいの約1,000億個の星々が円盤状に広がっている。我々の太陽系の太陽もその1つである。ハローには、年齢が120億年くらいの古い星が10億個ほど、球状星団が150個ほど分布している。

 天の川銀河が宇宙には無数にある銀河の1つに過ぎないことは分かっているのだが、では銀河系はどこまでが銀河系なのか、つまりハローはどこまで広がっているのか、となると、それは「森の中にいて森の広がりを調べる」ようなもので非常に困難な問題であった。

 銀河系ハローの最外縁部にある暗い星を観測するためには、すばる望遠鏡のような大口径の望遠鏡と、そして超広視野焦点カメラが最良の組み合わせである。

 研究グル―プは、青色水平分岐性星に着目した。ハローの地図を作るために、観測データの中からその候補となる天体を抽出、ビッグデータの統計解析を行い、その分布を解明したのである。結果、その数は半径52万光年のあたりで急激に落ちるため、そこが銀河系の境界であるということが判明したのだ。

 研究の詳細は、日本天文学会欧文研究報告(PASJ: Publication of the Astronomical Society of Japan)に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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