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5Gへと進む携帯電話業界で、新規参入ながらフォローの風を受ける楽天 (2-1)
日本の携帯電話がNTTドコモ、KDDIとソフトバンクで構成される3社寡占体制になったのが13年、以後6年を経過して10月に楽天が携帯電話事業に割って入る今年は、まさに携帯電話が4Gから5Gへとステップアップを遂げる節目の年と言える。
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4月には、米通信大手ベライゾンが、5Gによる家庭向けFWA(固定無線アクセス)ブロードバンドサービスの提供を一部地域で開始した。韓国でも一部ユーザー向けのサービスが開始されている。
過渡期であるためか、伝えられる使い勝手はまだこなれたものとは言えなさそうだが、いずれ「高速大容量と低遅延、同時多接続」という期待通りのパフォーマンスを発揮して我々の期待に応えてくれる筈だ。そのためには、関連分野をシェアする事業者の裾野の拡大が必要なことは言うまでもない。
今年も、中国・英国などを含めて合計16カ国でサービスが開始される予定で、日本でも夏以降にはキャリア3社がプレサービスを始める。
そんな時期に、携帯電話事業に進出する楽天のビジネスモデルは独創的だ。基地局に設置するノキアのアンテナを除くと、エリクソンやファーウェイ等、定番とも言われる基地局ベンダーによる専用のハードを使用せずに、クラウドを使用した「仮想化」と呼ばれる通信ネットワークの新技術を採用する。
従来、通信網に必要と考えられてきた様々な機能を、汎用型のサーバーに担わせて、交換や中継機能をソフトウェアで「仮想化」する。通信が集中するデータセンターの基幹的通信網から全国の基地局網という末端まで、専用機器を大幅に減少させた上で、現行の通信規格である「4G」向けの機器を5Gで活用しようとする試みだ。
5Gの売り物である「高速大容量と低遅延、同時多接続」という機能がフルに発揮されるためには、センターの基幹的通信網から末端の基地局網までの全てに5Gの設備を導入して、「スタンドアローン」ネットワークを構築しなければならないと言われる。
ドコモ、KDDI、ソフトバンクの3大キャリアが、5Gに対応したセンターの基幹的通信網を構築するためには、別途膨大な投資を必要とするため、当面は末端基地局網だけ5G設備とする「ノンスタンドアローン」で、5Gサービスを開始する。
これに対して、楽天のネットワークはソフトのアップデートで5Gに対応することが可能なため、5G開始1年後の21年には「スタンドアローン」にすることが可能と目論んでいる。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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