関連記事
株価も悩んでいるケイアイスター不動産の1本足打法への転換
ケイアイスター不動産が上場したのは2015年12月。公開後初の16年3月期決算は「20.0%増収、81.1%営業増益」。以降前期まで「32%増収、51%営業増益」「25.1%増収、28.2%営業増益」と上伸街道を走り続け、今3月期も「33.9%の増収(858億4000万円)、20.4%の営業増益(63億8000万円)、7円増配(上場来連続増配)84円配」計画で立ち上がった。
【こちらも】長谷工にみる少子化時代のマンションの在り方
そして開示済みの4-12月期に関しては「営業利益の計画比進捗率64.5%に食い足りなさが」という指摘もあるが「下期偏重型」の収益構造であり、懸念は無用の状態。ちなみに18年3月期の第3四半期も営業利益進捗率は期初計画比65.6%。
同社事業の2本柱は、東京中心に関東圏で展開する「分譲住宅」と「規格新築住宅」。前者はいわゆる「第1次住宅取得者向け」分譲住宅事業。「現在の賃貸家賃より割安なローン返済額で持ち家が取得できる」というモデルのビジネス。
「超低金利時代の波が幸いした」という指摘を否定はしない。が、ケイアイスター不動産は件の分譲住宅を展開するために不可欠な「より有利な土地の仕入れをする」ために「地場不動産会社」との提携を積極的に進めている。4月16日にも千葉県柏市で不動産売買・仲介・リフォームを展開する、BRエステートを傘下に収めている。後者は「FC化」も導入するなどして実績を残してきた。
そんな2本柱の在り様に変化がいま顕著に出始めてきた。今期中間期時点の数値にそれは容易に見て取れた。前期中間期時点の注文住宅棟数は134、対し今期時点では50棟と3分の1強止まり。一方の分譲棟数は838棟対1208棟。同社では「注文住宅の営業社員の大半を分譲住宅部門に配置転換した。販売強化を図り、年間回転率(一定期間の売上高÷一定期間の平均在庫率)2回への引き上げを目指す」と説明している。また昨年12月にはインドネシアに新工場を稼働させ、低価格のオリジナルキッチンや建具の生産体制を強化している。
断るまでもないだろうが、年間回転率が高いほど「売れ筋商品を有している」ことを意味する。ではなぜ、ケイアイスター不動産は「一本足打法」に舵を切ったのか。判断しきることは難しい。「注文住宅の時代でなくなった」「回転率向上で分譲住宅の利鞘が広がる」「超低金利時代の継続を見越した」と、住宅業界のアナリストの見方も分かれる。株価も判断しきれないでいる。収益動向の推移に対し、本稿作成時点の予想PERは5.7倍台にとどまっている。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
スポンサードリンク
関連キーワード