副業で「賃貸物件のオーナー」、「改正民法」への備えは大丈夫?

2019年4月30日 09:23

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 来年4月1日付けで約120年ぶりという「改正民法」が施行される。

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 昨今「副業OK」に踏み切る大手企業が増え始めている。大手企業勤務を「担保」に超低金利時代を幸いに、「ビル」や「マンション」といった賃貸物件の「(区分)所有者」となり賃料収入を貯め込むことに精を出すサラリーマンも現に現れ始めている。そんな彼らは果たして、改正民法にどこまで精通しているのだろうか。賃貸物件契約の在り様も大きく変わる。

 現行でも賃貸契約を結ぶ際、家主が(仲介管理会社を介して)「連帯保証人(以下、個人保証人)」を立てかつ「保証会社」との契約を求めてくるケースが少なくない。「家賃の滞納」等に備えるためだ。だが改正民法の基では、現行の状況の範囲だけでは立ち行かなくなってくる。

 賃貸契約を結ぶに当たり、家主は「個人保証人」「保証会社」に「保証限度額」を明示しなくてはならなくなる。視界に詳しい向きは「個人保証人には到底対応しきれない限度額が表記されることにもなりうる」とし、こう続けた。「滞納家賃が担保されないことになると、法的措置に持ち込むことにもなりかねない。滞納家賃+法的措置費用+退去費用等々を勘案すると、数千万円という高額になってしまいかねない」。

 親族や肝胆相照らす知人が「個人保証人」になるケースが常だったが、新民法下では個人保証人制は現実的に容易ではなくなる。

 あらためて浮上してくるのが、「保証会社」の存在である。貸主は借主と「賃貸契約」を結ぶのと同時に、契約書上の「極度限度額」を担保してくれる保証会社と契約を結ぶという枠組みである。

 だが先の斯界通は、こう警鐘を鳴らす。「貸主側には保証会社の“力”を見定める“力”が求められてくる。具体的には滞納家賃は何カ月分まで、いつまで保証してくれるのか。裁判費用はどこまで負担してくれるのかを具体的に詰めた上で契約を結ばなくてはならない。オーナー業も民法改正で厳しい生業になる」。

 言葉を選ばずに言えば「我々が本当に求められる時代到来」とばかりに、「民法改正に伴う不動産賃貸業への影響、変化する不動産賃貸業のルール」といった演題で積極的にセミナーを展開する企業も登壇している。東京5区内を中心に不動産(ビル)再生業で急成長しているサンフロンティア不動産傘下の、SFビルサポートなどその代表格。

 副業で賃貸物件のオーナー業を展開するのなら、各位に申し上げておく。「まだ先の話」でなく施行まで1年を切ったいま、「改正民法」を舐めるように読み込むのは「いま、でしょう」と。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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