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ガソリンエンジンが良い! (7) エネルギー回生システムはガソリン車でも必須【2】
■ターボコンパウンドで無駄をなくす
現在、モータースポーツのF1で利用されている「ターボコンパウンド」は排気タービンを直接駆動力に繋げるもので、熱損失の回生システムである。これでも排気熱の一部しか回生できないため、船などでは排気熱で蒸気を作ってタービンを回す蒸気機関を構成し、回生システムとしているものもあるようだ。しかしこのシステムは大きく重くなるようで、自動車では不向きのようだ。
【前回は】ガソリンエンジンが良い!(6) エネルギー回生システムはガソリン車でも必須【1】
排気やラジエターから逃げる熱量は膨大で、低い温度で燃焼させる技術も研究されている。気筒内からほとんど熱として伝わらないほどの「新燃焼システム」が実験されており、ガソリンエンジンの熱効率60%も夢ではないようだ。こうしたHVの研究によって、レンジエクステンダーで発電専用としたエンジンが最も効率が良くなる可能性がある。それは、効率が最も良い回転数で大きな負荷もなくエンジンを運転できるからだ。
【参考】熱効率60%の内燃機関が可能か?(知恵の輪サイトより)
■レンジエクステンダーで無駄をなくす
こうした日産・e-POWERのようなレンジエクステンダーは、アクセルワークとは隔離したいのだが、エンジン振動が伝わるため、現在のところアクセルに連動して回転数を変化させている。これはこれまでの運転感覚と違和感がないことを狙っているのであり、振動や音が伝わらなければ無用なことだ。これをやめて独立して理想的状態でエンジンを運転することが望ましい。
そこで現在、振動・音を出来るだけ抑えたエンジンの開発と、搭載場所が探られており、後部バンパー下などが考えられている。しかしこの分野では小さいことなど、マツダのロータリーエンジンが有利なのではと考えられている。
【参考】マツダのロータリーエンジン復活 レンジエクステンダーEVに最適
■マイルドハイブリッドで無駄をなくす
このシステムは、現在のところHVに分類され、燃費を向上するシステムと考えられている。しかしその効率は、それほど有効でもなく、むしろガソリンエンジンの低速トルクの無さを補う、実用的なシステムと見える。これは、これからバッテリーの性能が上がってくると省燃費システムとしても有効であり、ドライブフィーリングの向上にも役立つ技術と考えられる。現在、ガソリンエンジン車においては回生ブレーキを装備しない習慣だが、損失エネルギーを少しでも回生する手段として、ガソリンエンジンでも使用すべき技術だ。この意味で、マイルドハイブリッドは全車に装備すべき装置と考える。
マイルドハイブリッドは、日本車ではスバルのe-BOXERなどで見られるが、これはエンジンの低速トルクを補うことが出来てダウンサイジングにも貢献するもので、回生ブレーキで少しでも熱損失の回生を行うことが出来る。ガソリンエンジン車でも必須の装備と言える。マツダ3などでも、24Vで装備するようだ。マツダ・スカイアクティブ-Xの「HCCI (Homogeneous-Charge Compression Ignition)予混合圧縮着火)」と「ストイキ(理論空燃比)燃焼」とのスムーズな移行を実現した、「SPCCI (SPark Controlled Compression Ignition)火花点火制御圧縮着火」の技術は、後述するが、ガソリンエンジンの熱効率を飛躍的に向上させることとなろう。
このSPCCIの実現と共にマイルドハイブリッドが装備されてくるそうで、当然の成り行きかもしれない。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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