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LIXILが臨時株主総会の開催を発表 (下) 勝ち名乗りを自分にさずけた行司の、末路はどうなるか?
藤森氏の退任が発表された時点で、後任者として注目を集めたのが、当時工具の通販で注目を集めていたMonotaRO(モノタロウ)の瀬戸欣哉会長(55)だ。日本にもいよいよプロ経営者が経営のかじを取る時代が到来したと持て囃された。
【前回】LIXILが臨時株主総会の開催を発表 (上) 何故、ここまで追い込まれたのか?
その瀬戸氏も18年10月に「指名委員会の全会一致で決まった」、とする潮田氏から引導を渡された。10月26日に緊急招集された指名委員会では「瀬戸氏から辞意がある」と説明されていたようだが、「瀬戸氏は誰にも辞意を告げたことはない」というミステリーも明らかになった。
LIXILグループは潮田氏の会長兼CEO就任と合わせて、マッキンゼーで20年間パートナーとしてのキャリアを重ね、イオンの執行役・顧問を歴任した山梨広一氏のCOO就任を発表した。
くすぶっていた火の手は2月に英投資会社であるマラソンが、LIXILの取締役再任に反対する可能性に言及したことから炎へと成長し、局面は一気に緊迫化した。
LIXILグループが3月7日に十数社の機関投資家を対象にした説明会では、瀬戸氏の退任と潮田氏がCEOに返り咲くトップ人事に対して、「指名委員会のメンバーが自身をトップに選ぶのは利益相反」だとしてガバナンスの不在を指摘されている。大相撲に例えると、行司が自分に勝利の軍配を上げるようなものだ。これが、LIXILグループにはガバナンスがないと指摘されている本質なのである。
19日には、複数の機関投資家が潮田CEOらの退任を求める臨時株主総会の開催を要求していることが明らかになった。
25日には元INAXで社長を務めた川本隆一取締役が、機関投資家の解任要求を支持することを明らかにし、LIXILの発行済み株式の152万株を保有する常滑市も、片岡市長が同調することを表明した。常滑市には旧INAXの前身である伊奈製陶の創業者・伊奈長三郎氏が、初代市長だったという縁がある。
追い込まれたLIXILは25日、5月の中旬~下旬をメドとして臨時株主総会を開催する準備を始めていると発表しているが、具体的な日時や場所、議案などについては、決定を待って公表するとしている。
LIXILの保有株式が約3%程度である潮田氏のオーナー然とした振る舞いに、反旗を翻して臨時株主総会の開催を求めた5社の機関投資家持ち株数も、合計3%程と見られている。どちらにも決定的なパワーはない。LIXIL株式の40%弱を保有する外国人株主と、28.5%を保有する金融機関の動向によって、勝敗の帰趨は決まる。
報道を見る限りでは四面楚歌にある潮田氏が、どんな準備をして臨時株主総会に臨もうとするのか、潮田氏とLIXILの動静に多くの関心が集まっている。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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