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シャネル、2019-20年秋冬コレクション発表 カール ラガーフェルド最後のクリエーション
シャネル(CHANEL)の2019-20年秋冬 プレタポルテ コレクションが、フランス・パリで発表された。同シーズンは、故カール ラガーフェルドが手掛けた最後のコレクションとなった。
■美しい冬の1日の物語
シャネルのショーは、見るものにとって毎シーズン“特別な時間”。それが今季はより“特別”だった。なぜなら、長年にわたってシャネルを率いていたカール ラガーフェルド最後のクリエーションとなったから。披露の場は、グラン・パレに設置されたのどかな雪山。カールと、新たにデザイナーに就任することとなった、彼の右腕・ヴィルジニー ヴィアールが思い描く、美しい冬の1日の物語は優しく心に響いていった。
■ショー序盤、確立されたダンディズム
ツイードのオーバーコートとハイウエストのワイドパンツのコーディネートで、モデルたちが雪山を闊歩する。ダブルやストレートのオーバーコートにはハイカラーやショールカラー、ミニケープが施されていて、レトロマニッシュな風貌だ。ホワイト、ブラック、ベージュ、ネイビーとスタンダードなカラーが序盤を占領し、エレガンスとダンディズムを確立している。
■満たされていく、ロマンティックなスピリッツ
ロマンティックな要素を垣間見たのは、フリルに満たされたブラウスや、柔らかなフレアスカートが登場して以降。雪の結晶のモチーフを配したニットトップやワンピースが続き、フェミニンなムードが解放されていく。太いベルトやチェーンバッグ、耳元で揺れるゴールドのイアリングなど、雪山にはそぐわない“気品”が感じられるのも面白い。
やがてヴィヴィットな色の世界へと引き込まれ、雪山とは思えぬほど都会的なワードローブと、対照的なスポーティーなアイテムが交差する。ダウンジャケットにはビックチェック柄のツイード素材のワイドパンツ合わせ、スキーのチケットが入るようなパッチポケット付きのツイードジャケットには、ペンシルスカートをスタイリングしている。
■可憐で無垢な一面を
フィナーレにかけては、雪山と同じ“ホワイト”がメインカラーとなった。スノーボールのようなスカートやドレスには、シフォンや羽が用いられ、トップスの胸元には、ホワイトとゴールドのビニールの雪の結晶が刺繍されている。序盤にはなかった女性の儚さ、優しさ、そして可憐さが増幅していく。
別れを惜しむ一方で、やはり彼のクリエーションは最後までドキドキやワクワクを感ぜずにはいられなかった。ガブリエル シャネルから引きついだ、可憐で、強くて、かっこよくて、洗練されていて、それでも遊び心のある女性の在り方。みんなが羨むような女性像の提案。
思わぬ最後となった、カールが描いた女性像は、この穏やかな雪山の中だけでなく、今後シャネル ブティックから発信された街中で、まるで新雪のような煌きを届け続ける。この先何年経ったとしても、彼が遺したものは、世界中の女性に希望を与えてくれるだろう。やはりカールはモードの帝王だ。
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