「はやぶさ2」タッチダウン時のリュウグウ表面の映像公開 JAXA

2019年3月7日 21:28

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はやぶさ2がリュウグウに着地した直後 (c) JAXA

はやぶさ2がリュウグウに着地した直後 (c) JAXA[写真拡大]

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は5日、小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウにタッチダウンした瞬間の映像を公開した。

【こちらも】小惑星探査機「はやぶさ2」、リュウグウへの1回目のタッチダウンに成功

■困難を極めたタッチダウン着地点の選定

 JAXAによって2014年に種子島宇宙センターから打ち上げられたはやぶさ2は、約3年7カ月かけて、地球から約3億4,000万キロメートル離れたリュウグウに到達した。はやぶさ2はリュウグウに到達後、複数のポジションから小惑星を観測したが、着地点の選定には多くの時間が費やされた。

 半径約3メートルの地点「L08-E1」にはやぶさ2が着地することをJAXAが発表したのは、タッチダウンの約2週間前の2月6日だ。当初の設計では半径約50メートル以内の着地であったため、JAXAが報告するようにL08-E1が着地点になったことは苦渋の選択であったと予想される。

 リュウグウの着地誤差は約2.7メートルであるため、半径との差の余裕は30センチメートル程しかない。加えて、はやぶさ2への通信には往復で約40分かかるため、はやぶさ2は自力で判断して着地しなければならなかった。

■映像には試料採取の様子が

 はやぶさ2は2月22日7時29分に、L08-E1の中心点から誤差約1メートルで着陸に成功した。大きな岩に衝突することなく安全に着地に成功したはやぶさ2は、試料を採取するために、金属製の弾丸を地面に撃った。探査機の下面に設置された「サンプラホーン」と呼ばれる1メートル程の筒の先端が着地するタイミングで放たれた弾丸により、表面から出た物質を採取する仕組みになっているという。JAXAが公開した画像から、多数の破片や粒子が飛散し、すぐさまはやぶさ2が上昇する様子が確認される。

 岩や小石が散乱するリュウグウ表面から試料を採取できるか、JAXAは地上で実験を重ねた。映像から試料を採取できたことが期待されるものの、採取を直接確認する方法はないという。はやぶさ2が2020年末に地球に帰還する際に、リュウグウから試料が採取されたか、明らかになる予定だ。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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