鯖の水煮缶が1割値上がりした理由を考える

2019年2月28日 08:41

印刷

 私事だが夕食時の酒肴品は青魚の缶詰と決まっている。とりわけ「鯖の水煮缶」を好んでいる。休肝日ゼロ・1日1箱の喫煙に後ろめたさがあるからだろうか、青魚は体によいという思いが頭の中に鎮座しているせいである。

【こちらも】一考察、高齢化社会の生活保護

 久々に自ら「まとめ買い」に出かけた。値上がりしていた。水産大手に勤める知人に「高くなっているね」と聞いてみた。「去年の9月にうちが魚缶33種類の参考価格(希望小売価格)を値上げしたのがキッカケ」という答えが返ってきた。と同時に「まずいことを言ってしまった」と思ったのか「あるTV局が青魚と健康といった特集番組を放映したのを契機に青魚ブームが起こった」と付け加えた。「どの位値上げしたの」と聞きなおすと、「貴方の好きな鯖の水煮缶も含め、全品10%程度」とのこと。まず頭に浮かんだのが「消費増税への対応策」だった。知人は「・・・・」と返答に窮した。消費増税は私の酒肴にまで影響してくるのだ、と直感した。そして、それは逆ではないかという思いがムラムラと湧いてきた。

 周知の通り政権は「医療費(社会保障費)負担」の圧縮を図ろうと、診療報酬や薬価についてあれこれ画策している。漠然だった「青魚=体に良い」をブリタニカ国際大百科事典で調べてみた。こんな風に記されていた。「青魚には体内では生成できないDHC(ドコサヘキサエン酸)という必須脂肪酸が多く含まれている。DHCは脳や神経機能と関係が深く、血栓予防・血圧降下・視覚機能向上・悪玉コレステロールや中性脂肪を減らし生活習慣病の予防・改善に有効であるとされている」。言われてみると、DHC含有のサプリメントも広範に売り出されている。「軽減税率の対象に、医療費減につながる可能性の高い食品:青魚缶を入れるべきではないか」と思った次第。

 物の値段が需給関係によって決まることは常識。前記の「ブーム」が青魚の値段を押し上げているという知人の指摘も頷けないではない。そこで需給関係について一歩踏み込んでみた。

 2018年2月22日のNHK NEWS WEBは「海外への輸出が増えている農林水産物」の一つとして、鯖を上げこう説明していた。「17年の豊漁で鯖が人気の西アフリカ、とりわけナイジェリア中心に輸出が22%増えた」。水産国・日本の復活は望むところ。「消費増税対策の懸念は呑み込みながら、鯖の水煮缶と付き合い続けるしかないか」と考えるに至っている次第である。(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事