ついに四三がマラソンと出会う!「いだてん」第3話レビュー

2019年1月23日 12:04

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■四三の物語が本格的に動き始めた「いだてん」

 2019年のNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」。時間軸や場面描写がやり玉に上げられることはあるものの、金栗四三を演じる中村勘九郎の演技力やそうそうたる俳優陣の出演もあり、飽きない内容となっているのは間違いない。

【前回は】しっかりと人間ドラマを描く「いだてん」、第2話レビュー

 2部構成であることを示した1話に引き続き、2話では前半部分の主役となる金栗四三の物語がスタートした。幼少期から走ることの多かった彼は、自然と楽な呼吸法を見つけていたという事実に驚かされたり、さらに後に深く関わることになる嘉納治五郎とニアミスしていたという演出も随所にあるなど憎い展開が垣間見えた。

 そんな四三も青年となり、ついに上京するところから第3話はスタートした。

■四三と治五郎の出会い

 1909年の熊本。海軍兵学校の試験に落ちた金栗四三(中村勘九郎)は自分の将来について悩んでいた。そんな折、友人の美川秀信(勝地涼)は東京高等師範学校(現在の筑波大学)を受けるつもりであることを聞く。彼が話と共に出してきた本には嘉納治五郎(役所広司)の姿があり、なにか運命的なものを感じた四三も東京高等師範へ進学することを決めるのだった。
 
 東京に向かう中で当時の「おのぼりさん」の代名詞であった「赤ゲット」に身を包みながら、車内にて雑誌「冒険世界」を手にする。そこには「スポーツ」を楽しむ天狗倶楽部のことや、そのグループを率いる三島弥彦(生田斗真)に関することが書かれており、見知らぬ世界に期待よりも不安のほうが募っていくのだった。

 ついに東京へ降り立った2人だが、寄宿舎に向かうには早いこともあって電車で浅草まで向かうことにする。しかし、そこで四三は路面電車で早速スリの被害にあってしまう。不安はさらに大きくなりながらも、四三の東京生活は幕を開けるのだった。

■憧れの治五郎に会うもやりたいことが見つからない四三

 入学式の当日は東京高等師範学校の校長である嘉納治五郎のあいさつからはじまった。憧れの人の下で勉学に励めることに感極まってしまう四三。彼は熊本で日課にしていた冷水浴を欠かさず繰り返し、食事もゆっくり食べることをたゆまず繰り返した。そして、電車嫌いになったこともあり、幼少のときと変わらず学校まで走っていくことにしていた。

 しかし、真面目な性格なこともあってか東京の生活に慣れない四三。いつも田舎のことが頭をかすめる彼は一度熊本に帰省するのだった。帰省すると家族は東京での話を聞きたがり、さらに幼馴染の春野スヤ(綾瀬はるか)も四三に東京での生活ばかりを尋ねてくる。しかし、何もできていない自分には話すことがないと四三は自覚するばかりだった。

 とりあえず四三が家の畑仕事を手伝っていたとき、兄の実次(中村獅童)は四三に「ひとかどの人間になるには、熱中する何かを見つけることだ」と語り始める。まるで今の自分を叱咤するような言葉を受け止めた四三は、スヤに見送られながら再び東京に戻っていった。

■自分の長所を生かせる「スポーツ」に出会う

 東京に戻った四三と美川だが、美川はさっそく浅草へと言い出す。気の乗らない四三だったが、そこでは三島弥彦の号令の元に「全国学生大競争大会」が始まるところだった。彼の鉄砲を合図に、参加者が一斉に走り出すところに遭遇する四三。

 四三にとって走ることは移動手段でしかなく、ただ走るという行為をはじめは理解できなかった。しかし、走っている彼らの姿がキラキラと輝いて見え、参加者の一人に何をしているのかつい聞いてみる。すると聞かれた人は「マラソン」と答えるのだった。

 四三とマラソンの出会いを描いた第3話。生真面目な四三の人間性が徐々に浮かぶと共に、マラソンとの偶然の遭遇を鮮やかに見せた終盤の展開が非常に魅力的なエピソードとなっていた。ついに四三が本格的にマラソンを向かうようになっていくのが予想されるが、今後の展開が楽しみである。

 「いだてん~東京オリムピック噺~」は毎週日曜20:00から放送中。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る

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