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夜間中学生の8割が外国人という実態と夜間中学のあるべき論
昨年12月26日の「経済」欄で「外国人就労者が店長になっている物語コーポレーションに学べ」なる拙稿を記した。改正出入国管理法の成立で外国人労働者を増やす道筋がついたのがキッカケだった。「同一労働・同一賃金」が真に外国人労働者を受け入れる大前提となると考えたからだ。改正法成立には未だ賛否両論が入りかっている。記した大前提の下で受け入れに前向きになるべき、が私の考え方である。持論を深耕する意味で、その後も諸々の関連事項を調べ始めている。だが早々に壁にぶつかった。読者各位の「壁」に対する見解を伺いたく、本稿を書くことにした。
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受け入れる外国人に対しては、日本語の研修がしっかりなされなくてはならない。私はその責任は「受け入れ企業」と同時に、「改正法」を成立させた「国」側にも大いにあると考える。調べていくうちに、既に外国人が多数派になっている場所を知った。夜間中学校である。全国にある中学校のうち2部授業(夜間教室)を開いている中学校は、文部科学省によると2016年末で31校存在するという。そして夜間中学校事情に詳しい筋から「夜間中学校通う生徒のうち8割方が在日外国人だ。言葉を選ばずに言えば“在日外国人の日本語学校”になっている。日本語を学び日本での仕事をスムーズにするためにだ」と聞かされた。私は大いに結構なことじゃないか。そういう公的機関を増やすべきだと考えた。が、元文部科学省事務次官の前川喜平氏と「セーラー服の歌人」と称され「キリンの子」などの歌集で知られる鳥居氏の対談を聞いて、いま迷っている。
前川元次官は在職中に何らかの事情で小中教育を受けていないにもかかわらず、自動的に「中学卒」になっている員数が百数十万人に及ぶことを疑問視した。結果そうした人も中学教育が受けられるように奔走、夜間中学校入り許可を実現した人物である。いまも福岡市の夜間中学校でボランティア講師を務めている。一方の鳥居氏(歌人名であり本名等は不明)は両親の離婚・母親の死去・虐待などで登校拒否となり、実質上小中教育を受けることなくトコロテン式に中卒になった人。そんな2人が語り合った。
「小中教育を満足に受けられなかった人に学びの場を与えるのが夜間中学」という本来論が語られ、その拡充を強く訴えている。と同時に前川氏は夜間中学で日本語を学ぶ外国人にも理解を示し、「先生の数を増やし、日本語教室は別枠で設けるなどの施策を文部科学省は真摯に検討すべきだ」としている。正論だと思う。現実のものとするためには、国(文科省)を動かす声の高まりが必須と考える。そうすることで私がぶち当たった「壁」の解消にもつながる。
1月5日に配信された東京商工リサーチのwebアンケート調査(有効回答1万353社)でも、「半数超の企業が外国人を雇用したい」と答えている。だが同時に「日本語能力や受け入れ態勢の整備に多くの企業が課題を抱えている」としている。そうした状況に東京商工リサーチも「外国人労働者の雇用には、企業・地域・地方自治体など様々な方面からの取り組みが必要」と指摘している。
私の「壁」が突破されないようでは、真の外国人労働者の受け入れは不可能だと思うが如何だろうか。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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