日本製紙、今シーズン限りでアイスホッケー部を廃部へ

2018年12月20日 21:12

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 日本製紙はアジアリーグに参加しているアイスホッケー部の今シーズン限りでの廃部を発表した。経営合理化を図るため、来年3月のリーグ終了と共に活動を終了する。19日に行われた会見でチームの安永敦美代表は「引き受けてくれる企業などを探したい」と今後について語った。

■国内屈指の名門の廃部

 日本のスポーツ界に衝撃が走った。

 アジアリーグ4度の優勝の強豪「日本製紙クレインズ」 が姿を消す。1949年に「十条製紙釧路アイスホッケー部」として創部、74年に日本アイスホッケーリーグに加盟、会社の合併により93年より現在のチーム名となっている。

 名門の消滅は言うまでもなくアイスホッケー界にとって大きすぎる損失であることに他ならない。北海道釧路市を拠点とし、長きにわたり中心的存在として存在感を示してきた。2003年から始まり現在も行われているアジアリーグでは初代王者にも輝き、日本選手権も通算7度制している。数えきれない程の有力選手を輩出するなど、苫小牧を拠点とする「王子イーグルス」とともに国内のアイスホッケー競技を引っ張ってきた。

 しかし競技自体の性質上、サッカーやバスケットボールのようにメジャースポーツとは言い難く、活動も一部地域にかぎられる。不況の煽りからここ20年で国内の主要チームが会社の経営不振により相次いで姿を消してきている。日本リーグ時代からの名門だった古川電工、雪印、西武がここ20年の間で撤退、いずれも業績不振により廃部に追い込まれている。企業スポーツとしての限界がはっきりと映し出される競技の象徴とも言えた。

■今後の存続の道を探るも

 現在、8チームにより行われているアジアリーグは来シーズンから日本からの参加は3チームとなる可能性が高く、国内におけるトップチームが減ることで普及や育成、強化の点においても大きな打撃になることはもちろん競技人口減少に直結しかねない。

 今後はチームの引き取り先を探すとしており、また、かつて古川を引き継いだ「H.C栃木日光アイスバックス」のように市民クラブとして生まれ変わる道も考えられる。だが何れも実現は厳しく、現所属の選手は移籍なども含め個別に対応していくという。

 熱戦の続いた日本選手権を終えたばかり、週末にはアジアリーグも行われるシーズン真っ只中、アイスホッケー競技が大きく揺らぎ始めている。(記事:佐藤文孝・記事一覧を見る

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